『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(2017)
2018年 03月 31日

これによれば、トルーマン、アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソンの4人の大統領はベトナム戦争について嘘を重ね、マクナマラ国防長官も既に戦争には勝てないことを知っていたというのだ。事態の収束を図るため、ニクソン大統領は即座に記事の差し止め命令を出す。
地方紙に過ぎなかったワシントン・ポスト紙もこの文書を入手。
編集主幹のベン・ブラッドリーは報道の自由を守るためにも記事にすべしと主張するが、株式公開を控え社の存続を第一に考える役員たちは掲載に反対する。
父、そして夫から会社を受け継いできたキャサリン・グラハムは、社主として難しい決断を迫られることに。
「ペンタゴン・ペーパーズ」と呼ばれる文書やそれにまつわる一連の事件については全く知らなかったが、巨悪に立ち向かい不正を暴くジャーナリストというテーマは大好物なので、人物関係などで多少わかりづらい面もあったものの、鑑賞後の爽快感も手伝い、2時間弱でコンパクトにまとめられた物語を大いに楽しんだ。
何れはもう少し予備知識を仕入れ、吹替版でじっくりと見直したい。
キャサリンにメリル・ストリープ、ベンにトム・ハンクスを起用したスティーブン・スピルバーグの監督作で、この手の作品はラストで登場人物たちの「その後」「近況」が語られるパターンが多いが、本作には一切それがない。
興味があれば、自分で調べろと言うことだろうか。
そしてラストシーンは民主党本部ビルに何者かが侵入した場面で終わり、一連のウォーターゲート事件の前哨戦であったことが明示される。
こちらの事件はワシントン・ポスト紙の記者がスクープしている。
翻って我が国の政治は――
どのような不正が行われようと、それに断固として立ち向かうジャーナリストや、それを題材にした骨太の映画が作られる可能性の低さは嘆かわしいことだ。