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『パシフィック・リム/アップライジング』(2018)

** ネタバレ注意! **

紆余曲折あってようやく実現した「パシフィック・リム」の続編で、あの戦いから10年後が舞台。

『パシフィック・リム/アップライジング』(2018)_e0033570_14185371.jpg主人公のジェイクは脱走したストームトゥルーパー、じゃないペントコスト司令官の息子。色々あってドロップアウトしていた関係で前作時は不在。前作のヒロイン森マコがジェイクの”姉”として出てくるものの、この家族関係、唐突な感は否めない。
ジェイクの相棒としてスコット・イーストウッドが演じるネイトというキャラが出てくるけど、これが前作の主人公ローリーだったらもうちょっと流れが自然だったんだろうけど、ローリー役のチャーリー・ハナムがスケジュールの都合で降板したから、これまた無理矢理接ぎ木した感がありあり。
しかも森マコはあっさりと殺されちゃうし、ノベライズによると既にローリーも病死してる設定なんだとか。

前作からは他にニュートン・ガイズラーとハーマン・ゴットリーブの二人も再登場してくるし、結構出番も多くてある意味では大活躍するものの、ニュートンに関してはまさかまさかの闇落ち!ラスボス!
新体制になり、物語上も世代交代を狙ったんだろうけど、なんか前作キャラに対して冷たい印象が残る。

一応の新ヒロインは、ジャンクパーツを盗んで自前のイェーガーを組み立てちゃう15歳の少女アマーラ。演じてるケイリー・スピーニーは実年齢は20歳だけど、ティーンエイジャー役に違和感なし。
彼女とジェイクの、いわばアウトローコンビが最終的に大活躍というパターンも王道展開と言えるだろう。

『パシフィック・リム/アップライジング』(2018)_e0033570_14190458.jpgしかしKAIJU映画と言いつつ、実はなかなか怪獣が登場しない。
無人機イェーガーの導入、配備と謎のイェーガーの出現、更には無人機イェーガーの暴走は、怪獣映画よりもロボットアニメからの影響が大。「パトレイバー」か「エヴェンゲリオン」か、はたまたブラックオックスか?
そういやクライマックスバトルの舞台となる、言われてもよくわからない東京の風景の中にはしっかりとユニコーンガンダムの立像が。ちゃんとサンライズの許可は得てるようだけど、そこまでして出したかったのかねえ。

その中国人ばっかり逃げ惑ってるような気がする東京からは富士山がでっかく見え、怪獣たちの目的地はどうやら富士山らしい。しかも割と短時間で行ける距離らしい。…おいおい。

その最終決戦で大活躍して、美味しいところを持って行っちゃうのが無人機イェーガーを開発した大企業のオーナー、リーウェン・シャオ。演じてるのは「グレートウォール」「キングコング/髑髏島の巨神」でレジェンダリー・ピクチャーズ御用達女優となったジン・ティエン。作劇上は悪役ポジションにいた筈なのに、最後はちゃっかり”正義の味方”。美人は得だよなあ。
彼女にはレジェンダリーの大株主である中国系企業のお偉いさんの愛人で、ゴリ押しのキャスティングとかいう噂もあるけれどねえ。

前作に比べると軽いノリで愉しめる娯楽作といったところだけど、色々な面で雑。設定やシチュエーション、キャラクター配置その他もろもろ。
新田真剣佑が出てるってことで日本じゃ大きく扱われているイェーガーのパイロット候補生たちも、結局は各人の色が出せず誰だ誰やら。最終決戦ではお約束通り員数集めで駆り出されるものの、誰がどの機体に乗り、誰が生き残って誰が死んだのかも判然としない有様。いがみ合いの中から友情が育まれていく過程がしっかりと描かれていれば燃える展開もあろうに。

ラストは「今度はこっちから乗り込んでいくぞ」と地球人サイドからの宣戦布告。
第三弾の構想や、その先にゴジラやキングコングらの<モンスターバース>との融合も視野に入れてるようだけど、はたして実現なるか。
監督の怪獣愛、ロボットアニメ愛は伝わっては来るものの、もうちょっと映画としての体裁には拘って欲しかったかな。


Tracked from シネマをぶった斬りっ!! at 2018-05-07 21:09
タイトル : パシフィック・リム アップライジング
【監督】スティーブン・S・デナイト 【出演】ジョン・ボイエガ/スコット・イーストウッド/ジン・ティエン/カイリー・スパイニー/菊地凛子/バーン・ゴーマン/アドリア・アルホナ/チャーリー・デイ/新田真剣佑 【公開日】2018年4月13日 【製作】アメリカ 【ストーリー】 人類とKAIJUの死闘から数年が経過し、平穏が戻っていた地球。しかし、進化を遂げたKAIJUが再び姿を...... more
Commented by メビウス at 2018-05-07 21:10 x
エクスカリバーさんこんばんわ♪TB有難うございました♪

一作目のようにKAIJU映画主体だったら確かに自分もそれはそれで嬉しかったですね。本作は前半で新しいキャラクターたちの背景を描いたりオブシディアンの謎に迫った後にKAIJUでしたから、少し時間かけ過ぎたのかもしれません。
でも自分ロボットアニメも大好物なので、同型機同士の対決や量産機などの展開はやっぱり興奮したのでしたw
Commented by odin2099 at 2018-05-08 22:12
> メビウスさん

もうちょっと色々と整理して欲しかったなあという気はします。
あれもこれもと欲張り過ぎたのか、それとも監督交代劇の余波でまとまりを欠いたのかはわかりませんが、これでは三部作の完結編がちと心配。
無事に作られれば、ですけれど…(^^;
by odin2099 | 2018-04-15 14:24 |  映画感想<ハ行> | Trackback(1) | Comments(2)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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