『アイアン・ジャイアント<シグネチャー・エディション>』(2015)
2018年 04月 16日
彼を取り巻くのは生活に疲れたシングルマザーの母親アニーと、風変わりな芸術家の青年ディーン、それに誇大妄想の気がある政府の捜査官ケント。
実は宇宙から送り込まれた侵略兵器だったアイアン・ジャイアントだが、ギリギリのところでホーガースとの友情故に踏みとどまり、自らを犠牲にして皆を救うというのはベタながら涙を誘う展開。
初登場シーンから悪役然としたケントは、彼なりの危機感・正義感を持って任務を遂行してるのだろう。
時折コメディリリーフの役割を負わされ、憎めない悪役なのか?
最後に改心してホーガースとアイアン・ジャイアントの味方になるのかなと思いきや、最後の最後までクズだった、というのも潔い。
サングラスに髭、しかも顔色の悪い不健康そうなディーンは、ちょっと見た目は典型的な「嫌なヤツ」だが、途中でなかなか頼れる男だということが明らかになり、どうやら最後にはディーンと良い仲になったらしいアニーは、いわばヲタクの理想のヒロイン像だろう。
若くてチャーミングな未亡人、という設定のヒロインも珍しいかと思うが。
そしてレトロチックでシンプルながら、時に恐ろしく、時に愛嬌を感じさせるアイアン・ジャイアントのデザインも秀逸。
その健気な最期には胸をうたれるが、ラストシーンでは復活が示唆されているのも、甘すぎると批判する向きもあろうが、希望を感じさせて良い。何度でも見たくなる、他人に勧めたくなる一本だ、
今回見たのはオリジナル劇場版に、カットされた2シーンを復元した<シグネチャー・エディション>。
ランニングタイムは2~3分しか違わないが、ブラッド・バード監督こだわりのシーンだったということなので、こちらがディレクターズカットの決定版ということになるのだろう。
日本でも劇場公開が予定されながら直前で上映中止になったのは解せなかったが、Blu-rayソフトは予定通り発売され、手軽に愉しめるようになったのはメデタシメデタシ。