『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』
2018年 04月 19日
ディズニーもクライヴ・バーカーの「アバラット」映画化を表明しましたが、結局頓挫。ようやくウォルデン・メディアが着手したこの「ナルニア国物語」に、後乗りと言う形で参加することになりました。
「ロード・オブ・ザ・リング」はニュージーランドが映画、特にファンタジー系の作品のロケ地として相応しいことを世に知らしめましたが、それを決定づけたのがこの「ナルニア国物語」ではないでしょうか。
「ロード・オブ・ザ・リング」を上梓したトールキンの盟友だったルイスの著作に基く映像化作品だというのも何やら不思議な縁を感じますし、両作品には共通して参加しているスタッフもいて、撮影も同じ場所だったか近くだかで行われたようです。
ただ「ナルニア国物語」が「ロード・オブ・ザ・リング」と同じようなタイプの作品かと言えば、これはまるで違います。
もし「ロード・オブ・ザ・リング」を気に入っていて、他にも似たような作品を求めて「ナルニア国物語」に辿り着いたとしたら、多少の違和感は拭えないと思います。
もっとも撮影スタッフが共通で撮影場所も同じとなると、例え物語は違っていても「絵」的には似たようなものになってしまうのは避けられませんが。
トールキンの小説とは案外異なる内容の「ロード・オブ・ザ・リング」は比較的原作ファンからも好意的に受け止められましたが、大筋は原作に沿っている「ナルニア国物語」はどちらかというと賛否両論のようです。
これはおそらく牧歌的な原作の持つ要素が薄れ、子どもたちを主人公にした割には殺伐とした戦闘シーンが多かったり、その子どもたちが多少の問題児であっても本質的には「良い子」だったのに対し、映画では見ていてイライラさせられるほど生の感情をぶつけ合う存在に描かれていたりするからかな、と個人的には思います。
ただこれも、一本の映画として捉えたならば決して改悪ではなく、娯楽作品としてはメリハリがついたものになったと思っているのですが、原作ファンはそうは受け取らなかったのでしょうね。
この作品と続く2作目で思うほどの成功を収められなかったディズニーはとっととシリーズに見切りをつけ、3作目は20世紀フォックスの元で仕切り直しとなりました。余談ですが、ディズニー→20世紀フォックスというのは丁度「スター・ウォーズ」と逆ですね。
しかし4作目はソニー・ピクチャーズ傘下のトライスター・ピクチャーズへ再び移籍、と前途は多難。全7作の原作全てが映画化されるかは不透明な状況です。
というより「ダレン・シャン」、「スパイダーウィックの謎」、「エラゴン/遺志を継ぐ者」、「ライラの冒険/黄金の羅針盤」、「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」、「ザ・シーカー/光の六つのしるし」、「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」…と数多くのファンタジー小説が映画化されましたが、何れもシリーズ化は絶望的(「パーシー・ジャクソン」は2作目が作られましたし、最近になってネット配信ドラマなどで再始動している作品もありますが)。
またファンタジー小説の帯や解説に「映画化決定!」の文字が躍っていた時期がありましたが、音沙汰なしの作品も数知れず。
結局成功を収めているのは「ハリー・ポッター」と「ロード・オブ・ザ・リング」のシリーズ及びその派生作品のみ、というのは淋しいですね。
<過去記事>
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