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『惑星大戦争』

東映の『宇宙からのメッセージ』と並ぶ和製『スター・ウォーズ』便乗映画の雄で、タイトルの「惑星大戦争」は当初『スター・ウォーズ』の邦題として準備されていたものの流用、というのは有名な話。

『宇宙からのメッセージ』の項でも書いたが、研究の後は窺えるものの、実はそれほど『スター・ウォーズ』に似てるとは思わないのだが、こちらの方はもっと影響が少ない。
強いて上げれば宇宙猿人の登場くらいか。

『惑星大戦争』_e0033570_19392816.jpgおそらく『スター・ウォーズ』そのものというより「SFブーム」にあやかろうとしたのだろうということと、準備期間の不足から研究どころではなかったのではないかと推測できる。
あるいは『海底軍艦』の轟天号を宇宙へ飛ばそう!というのがそもそもの発端だったそうなので、最初から『スター・ウォーズ』なんか眼中になかったか。
結果的に『スター・ウォーズ』というよりも『宇宙戦艦ヤマト』の実写リメイクのような仕上がりになっている。

主人公は森田健作、そのライバルで親友は沖雅也、それに宮内洋が並んだ姿は東宝映画っぽくないし(モリケンは松竹所属だし、宮内洋は”東映ヒーロー東の横綱”なんて呼ばれるくらいだ)、池部良や平田昭彦はともかく、大滝秀治もあまり特撮モノのイメージはないし、特撮モノに所縁があるキリヤマ隊長こと中山昭二も東宝映画っぽくはない。
まあそれも多国籍軍というか、色々な枠を越えたドリームチームと言えなくもないが。

戦いの激烈さを表現する為かメイン格のキャラクターでも容赦なく殺されてしまうし、最後は『さらば宇宙戦艦ヤマト』を先取りしたかのような特攻劇で幕を下ろすなど全体的に暗いお話ではあるが、低予算で時間のない中でありながら、精一杯の見せ場を用意したスタッフには拍手を送りたい。
津島利章の軽快なマーチも良い。

DVDに収録されているオーディオ・コメンタリーはヨミ惑星人の司令官ヘルを演じた睦五郎だが、この作品へ出演した当時のことは殆ど記憶にないとのこと。
円谷プロの『ファイヤーマン』撮影時のことは共演者のことなど色々語ってくれるのだが、同時期のゴジラ対メカゴジラメカゴジラの逆襲出演時のことも覚えておらず、辛うじて『エスパイ』については語ってくれたが、インタビュアー泣かせの内容に。

スペース・アドベンチャー コブラ』や『少女コマンドーIZUMI』、『電脳警察サイバーコップ』の話題も振られたものの、どうやら作品名すら記憶してない様子。
子供番組や特撮映画をバカにしているわけでもなく、おそらく現場から現場へと多忙を極めていたことや、”仕事”として割り切って”職人”に徹していたからかな、とは思うが、なんだか淋しい。

ちなみに轟天号の出番は、オリジナルの『海底軍艦』より長いんじゃなかろうか。
そしてこの『惑星大戦争』、それに『宇宙からのメッセージ』の両方に唯一出演してるのがウィリアム・ロスなんだと。

<過去記事>
https://odin2099.exblog.jp/12711006/


by odin2099 | 2018-05-13 19:47 |  映画感想<ワ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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