『ポルターガイスト』
2018年 06月 26日
わが国でもNHKの放送終了時は「君が代」が流れたっけ。
今じゃ24時間放送が珍しくないけれど、まだまだテレビの深夜放送が珍しかった時代だ。
その放送終了後の通称「砂の嵐」に向かって語りかけるキャロル・アン。これが怪異の始まり。
何かが起りそうな空の色、家の横にある不気味な大木、長閑な新興住宅街の風景を映し出しながらも、少しずつ少しずつ予兆を盛り込んでいく。

ところがここでキャロル・アンが何者かによって連れ去られ、ここで物語は一挙に進展する。約2時間の映画の内、おおよそ三分の一が経過したところだ。
ここで専門家が現れて怪異現象への一応の説明が始まり、キャロル・アンがひとまず無事であること、そして事態への対処方法の模索が始まる。しかし現象は専門家たちの想像を超えていた。家族には次々と変事が起り、ここで助っ人が登場。これが単に超常現象や心霊現象の専門家ではなく霊能力者なのである。
ここまで比較的理詰めでお話が進められてきたので、一気にファンタジー方面に舵を切ったというか、胡散臭さが醸し出されるために、ここで脱落してしまう観客もいるかも知れない。
映画はここまでで三分の二まで来ている。
この胡散臭い人物が実はかなりの実力者で、これまで事態を持て余し気味だった専門家たちに代わり、見事に解決方法を見つけ、ようやくキャロル・アンを取り戻すことに成功。
スピルバーグ作品では「未知との遭遇」では怪異を切っ掛けに家庭が崩壊するし、同時期に作られた「E.T.」では母子家庭が主人公だが、この「ポルターガイスト」では夫婦円満。それがキャロル・アンを連れ戻す鍵になった、というのは珍しいのかもしれない。
ところが上映時間はまだ残っている。
ハッピーエンドかと思いきや、ここで畳みかけるような一大スペクタクルシーンが登場。何故この家で怪異現象が起きたのかの謎解きも行われ、ようやく物語は終幕を迎える。
同時期に「E.T.」を監督していたため、多忙なスピルバーグはトビー・フーパーに監督を委ねたものの、未だに真の監督は誰なのかが話題になるのは、他のプロデュース作品と違って(自ら脚本も手掛けているということもあるのだろうが)如何にもスピルバーグらしい作品だと受け取る人が多かった証拠だろう。
スピルバーグ印なので、ホラー映画ではあっても一応はファミリーピクチャーに分類されると思うが、母親役のジョベス・ウィリアムズにはちょっとセクシーなショットが盛り込まれている。
緊迫したシーンなので息抜きにはならないし、サービスカットだとしても入れるタイミングがなあ…。
【ひとこと】
今回はBlu-rayで鑑賞したのだが、搭載されてる日本語吹替が酷すぎ。
といっても出来の問題ではなく、ブツブツ切れてしょっちゅう「原語+字幕」に切り替わってしまうので、落ち着いて見てられないのだ。
新録するか追加録音するか、あるいはもっとカットの少ないヴァージョンでの収録は出来なかったものか。
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