『宇宙戦隊キュウレンジャーVSスペース・スクワッド』(2018)
2018年 07月 01日

そこへ”もう一つの宇宙”から、デモストを追ってスペース・スクワッドのギャバンとシャイダーがやってきた。
「スペース・スクワッド」の第二弾という体裁は取っているが、実際は「スーパー戦隊VSシリーズ」やVシネマの「帰ってきた~」シリーズの流れを汲む作品。メインとなっているのはキュウレンジャーたちのドラマで、ギャバンたちはあくまでもゲスト出演。
キュウレンジャーたちが大所帯だからか、スペース・スクワッドがギャバンとシャイダー、それにジライヤだけというのが些か淋しい。特にジライヤは、戸隠流三十五代宗家・山地闘破ではなく三十六代宗家・天城闘真という新キャラに代替わりしているにも関わらず、コスチューム姿のみで声は赤羽根健治が担当、しかも出番は序盤と終盤のみなのが勿体ない。せっかく相手はデモストだというのに。
その一方でネオキュータマの力でデモストが復活させたヴィランズのメンバーはなかなか豪華。
メレ、腑破十臓、バスコ・タ・ジョロキア、そしてエスケイプの4人で全てオリジナルキャストで復活を遂げている。監督曰く、これは現世に未練を残した者たちを蘇らせる「魔界転生」のイメージなのだとか。
理央のいない世界に何の意味もないというメレだけはこのメンバー内では異質だが、そこは単にカメレオン戦士繋がりという以上にハミィとの間でのドラマも用意され、平田裕香のツンデレぶりが魅力的だ。ちなみにメレの衣装は撮影当時のものだそうだが、なんか以前より胸に谷間が強調されてるようでドキドキ。

相変わらずぶりが際立っているのはバスコ。「何かを得るには~」のお約束の台詞をはじめ、キャラクター自体もぶれず、口調がいちいちバスコっぽい。冷酷非情で残忍でありながら、どこか憎めないトリックスターの面も併せ持つ彼ならでは、といったところだろうか。
お話の方は、ハミィの裏切り行為の理由付けがあまりにも…。よっぽどの事情を抱えてるのか、それとも特命を帯びて潜入捜査みたいなことをしてるのかと思いきや、そりゃお師匠さん(演じるのは広瀬仁美!)の命は大切だろうけど、騙されてました、ではあまりに甘い。
騙されていた、といえば鳳ツルギ大統領の二人の補佐官を出合正幸と高山侑子が演じているのだが、これも2人のイメージを逆手に取った面白い設定になっている。
逆手に取っているといえば、シャイダー=烏丸舟。相変わらず女の子と見ればナンパしまくりのチャラ男ぶりは健在だが、それが思わぬ事件解決の決め手に。まさかそれが伏線になるとは気付かなかった。
ラストでは幻魔空界が関与していると見られる多発するビル火災が報じられ、ギャバンとシャイダーが誰をメンバーに入れるかを話し合うシーンがあるが、そこに浮かび上がるのが「特警ウィンスペクター」ファイヤーのシルエット。そして”To Be Continued”とテロップが出て終わるが、続編が早期に実現するのを待ちたい。
【ひとりごと】
ワシピンク/ラプター283の声を担当しているM・A・Oが、市道真央名義でルカ・ミルフィとしてゲスト出演。「声が似てる?」とハミィに言われるというオチが付く。