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『エイリアン<ディレクターズ・カット版>』(2003)

20世紀FOXが製作した、ポスト『スター・ウォーズ』作品。
といってもあちらは大冒険活劇でしたが、こちらはゴシックホラー。
同じ宇宙を舞台にしたSF映画といえども、同列に扱うのは双方にとって迷惑なのかもしれません。
もっとも『スター・ウォーズ』がヒットしなければ、この企画にゴーサインは出なかったろうと思いますが。

『エイリアン<ディレクターズ・カット版>』(2003)_e0033570_08443622.jpg今回は1979年の<劇場公開版>ではなく、2003年に作られた<ディレクターズ・カット版>を初めて見ました。
冒頭に流れるリドリー・スコットのコメントだと、<公開版>も気に入ってるけれど年月が経つとやはり色々と手を加えたい箇所もあり、未公開シーンを加えて再編集したと語ってます。
その割に<公開版>117分に対して、<DC版>は116分と1分短くなってますけれどね。

もう<公開版>の詳細は覚えてませんが、処々の資料によればその違いはさほど大きなものではないようです。
ダラス船長が実は生きていたとか、ランバートとリプリーの対立?シーンがあるとか。
かなりなマニアでなければ、あまり意味を持つ改変ではないかも知れませんね。
自分にとっても些末な部分でした…。

で、久しぶりに見た『エイリアン』ですが、やはり怖かったです。
以前にも書いた通り、展開はゆったり。
約2時間の映画ですが、謎の宇宙船を発見し、中に入ってブリッジだかコクピットだかで異星人の死体を発見するまでが約30分。
エイリアンに寄生されたケインの腹部を喰い破ってチェストバスターが出現するまでが1時間。
アッシュの正体と目的が判明し、船を捨てて逃げる決断を下し、準備に取り掛かるあたりで1時間半。
そしてラストの30分でようやくリプリーとエイリアンの対決が始まります。

『エイリアン』という作品を見たことがない人は、リプリーは乗組員の紅一点の若い女の子、みたいなイメージを持っているのかもしれませんが、ノストロモ号の女性乗組員は実は二人いますし、序列で言うと七人の乗組員の中ではダラス船長、ケイン副長に次ぐ三番目の指揮権を持っています。
中盤まではあまり感情に左右されず、時には冷徹とも思える判断を下す任務や命令には忠実なリーダーといった面も見せます。
乗組員たちが決して仲良し集団ではなく、常に不平不満をぶつけあってるだけに、よりキャラクターが際立ってる印象です。

ところが終盤、特に自分がたった一人の生存者となったあたりからは、恐怖に怯える幼気な少女の顔も見せ始めるので、そのギャップが魅力的に映るのでしょう。
はみ出してるショーツに、うっすら透けて見えるタンクトップ姿の無防備さ。
必然性はゼロとは申しませんが、あまり高くはないサービスショットに、より”萌え”を想起させられます。
何かと性的なメタファーの多さが指摘される『エイリアン』ですが、それが結実しているのがこのクライマックスシーンと言えるでしょう。

しかしノストロモ号を所有している「会社」は、エイリアンの存在を知っていて、初めからその確保が目的だったんでしょうかね。
貨物船と称しているノストロモ号のそもそもの目的や、その積み荷については触れられていないだけに、色々と想像する余地はありそうです。


by odin2099 | 2018-07-08 08:53 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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