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『スター・トレック』

真っ暗な画面に音楽のみが流れる贅沢なオーヴァーチュア。
この100秒は決してビデオ機器の故障ではない。ソフトが不良品なのでもない。
本国アメリカでは1979年の暮れに公開されたが、日本では1980年の今日、7月12日の公開(だそうな)。
レナード・ニモイ、デフォレスト・ケリー、ジェームズ・ドゥーアン、メイジェル・バレット、パーシス・カンバッタ…とキャスト陣にも鬼籍に入った人が増えてきた。

監督はロバート・ワイズ、そして特撮は「2001年宇宙の旅」「未知との遭遇」のダグラス・トランブルと、「スター・ウオーズ」のジョン・ダイクストラの師弟コンビが手掛けている、という点でも贅沢な一本。
しかも”スペシャル・サイエンス・コンサルタント”としてクレジットされているのは、アイザック・アシモフ!

『スター・トレック』_e0033570_18373425.jpgそれがこの劇場版<スター・トレック>シリーズの1本目で、元々はTVシリーズを再開させる企画が二転三転して超大作映画としてスクリーンへ、ということでこれまたポスト「スター・ウォーズ」映画の大本命。
一部のファンからストーリー面で不満が出ていたり、製作中のゴタゴタで予算を超過してしまったことから2作目以降は製作費が抑えられたようだけど、映画の本数でいえば既に本家<スター・ウォーズ・サーガ>を凌いでいるのだから、結果的には大成功。

ただTVシリーズやレギュラーメンバーの説明が一切ないことや、ストーリーが難解な点は初心者には少々ハードルが高い。
自分も初見の時は「このミスター・スポックという奴は、なんでこんなに不愛想なんだ?」と思ったものだ(キャラクターの存在自体は知っていたけれど、性格や設定に関しては知らなかった)。
またヴィージャー=ボイジャーという種明かしも、すぐにピンとくる人がどのくらいいるのやら。

そしてラストシーン。
ヴィージャーによって再生されたアイリーアと、自らヴィージャーと一体化することを望んだデッカー。
どちらも炭素体ユニットとして機械に取り込まれ、そのことが新たな生命体を生み出した…とか何とかいうことらしいが、これはハッピーエンドなのだろうか。
そういや後に作られた「スペースバンパイア」も、なんだか似たような終わり方だったっけ。

ちなみに劇中に出てくるヴィージャーの正体であるボイジャーは6号。
作中では300年以上前の20世紀に、NASAによって打ち上げられ、ブラックホールに吸い込まれて消息を絶った探査機ということになっているが、実際のボイジャーは1号と2号しかないのでややこしい。
また余談だけれども「巨獣特捜ジャスピオン」には、この作品にインスパイアされたと思われるエピソードが存在する。

そして更に余談だが、「宇宙戦艦ヤマト」の劇場版第3作「ヤマトよ永遠に」製作にあたり、メインスタッフは日本公開前に参考のために見てるのだが、エンタープライズ号のワープシーンがヤマトの連続ワープのシーンに、ヴィージャーが発生させた”雲”が二重銀河(暗黒星雲)の描写に活かされているようだ。
日本公開がどちらも80年夏なのもちょっとした因縁?

<過去記事>
https://odin2099.exblog.jp/2988759/



by odin2099 | 2018-07-12 18:58 |  映画感想<サ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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