今日は
「海の日」かあ。
では”海”に因んだ作品をば。
ピーター・ベンチリーのベストセラー小説を映画化したスピルバーグの出世作品。
Blu-rayには懐かしの「水曜ロードショー」放送時の吹替版が収録されていたので、そちらで再見。
この作品を初めて見たのは後継番組「金曜ロードショー」でのオンエア時だったので、ブロディ、クイント、フーパーの声は滝田裕介、北村和夫、樋浦勉がしっくりくる。

ブロディ署長を中心に据えた2時間の映画で、前半は人食い鮫の出現に危機感を募らせるものの、島の貴重な収入源である観光客誘致を優先する市長との対立から第二第三の被害者が出てしまい、その責めを負って対応に苦慮する姿をミステリー・サスペンス物やホラー物の風味を交えて描き、後半は一転して鮫退治の名人の荒くれ漁師クイント、鮫の専門家で海洋学者のフーパーと共に海へ乗り出していく姿を海洋冒険物のテイストで描いており、作品の雰囲気はかなり変わる。
尊大で下品で鼻持ちならないクイント。
しかしいざという時には頼りになるかと思いきやあっけない最期を遂げ、フーパーも専門家の観点から作戦を立案し幾つかの装備を持ち込みながらも実行段階で失敗に終わり、結局は海嫌いでボヤいてばかりの素人同然のブロディがケリをつける、というのも意外性があって良い。
またなかなか姿を見せずに恐怖心を煽るスピルバーグの演出もさることながら、それを盛り上げるジョン・ウィリアムズの音楽の効果!
今ではすっかり有名になった鮫のモティーフだが、あれは真に鮫が現れる場面にしか流れない。
例えカメラに映っていなくてもあの曲が流れたらその場に鮫がいるし、逆に登場人物たちがどんなに「鮫がいた」「捕まえた」と叫んでも、そのメロディ抜きならば鮫の仕業じゃないか、少なくても対象となる巨大なホオジロザメではないということなのだ。
冒頭で描かれる最初の犠牲者は、オールヌードで泳ぐ若い美女だが見えそうで見えない。
その後もビーチのシーンは度々出てくるが、ビキニ姿の若くてセクシーな美女がバンバン出てくる、ということもない。
『ジョーズ』のフォロワー作品は数多いが、そのあたりの節度がA級映画とB級映画の境界線なのかもしれない。
それにしても最後の方、鮫がボロボロだ。
まだまだ技術的に稚拙なロボット鮫ではあったろうが、過酷な撮影が続いていた証拠かもしれない。
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