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『エンティティー/霊体』(1982)

子供を3人持つシングルマザーがポルターガイストによってレイプされるという、実話に基づくオカルトホラー映画。

カーラは就寝中、何者かによって強姦されかかり目を覚ますが、周囲には誰もいない。
その後も度々怪異現象に見舞われ精神科医を頼るが、性的欲求不満や幼少期のトラウマに起因する幻覚、妄想だと片付けられてしまう。
友人宅へ非難したもののそこでも襲われてしまうが、偶然知り合った大学の心理学者たちは何らかの霊的な存在の仕業だと判断。
それを突き止めるための大掛りな実験を提案する。

『エンティティー/霊体』(1982)_e0033570_06300704.jpgバーバラ・ハーシーがカーラ役を熱演。
入浴中に襲われたり、就寝中に胸を肌蹴られ見えない存在に乳房を揉まれたり、遂には全裸に剥かれエクスタシーを感じてる瞬間を恋人(と息子)に見られるなど、かなり難易度の高いシーンをこなしている。
特に見えない存在が彼女の身体を弄るショットは、CGなどない時代に一体どうやって撮影したのか興味深い(特殊メイク?)。

同じ年に『ポルターガイスト』が作られているが、あちらは早い段階で霊能者が登場し事件解決へ向けてお話が転がっていくが、こちらはメインキャラの精神科医(演:ロン・シルバー)が徹頭徹尾カーラを「病気」と決めつける。
彼は一見「頼れる味方」として出てくるのだが、患者の言うことに耳を傾けずに一方的に自説を押し付け、最後まで彼女にとっての障壁となる物語上の悪役ポジション。
そしておそらく実験の結果を見た上でも、なお自説を曲げないのだろう。
そこが実話とフィクションの違いか。

最後はハッピーエンドと思いきや、頻度は減ったものの今でも彼女はポルターガイストに悩まされている、とのテロップが流れて終わる。
事件は1976年10月に起きたものをベースにしているそうだが、この映画の製作時点で6年近くが過ぎているのだから恐ろしい。その後この家族に平安は訪れたのだろうか。

ちなみに公開はこちらが『ポルターガイスト』より後のようだが、同じ時期に同じネタの映画が作られたのは偶然だったのか、それともあちらのヒットを当て込んでのことだったのだろうか。

この作品は30年以上前にテレビ放送されたのを見ただけだったが、今回DVDで全長版を鑑賞。
カーラは16歳で長男を妊娠するが最初の夫は事故死。
その後は年の離れた男と事実婚となり娘二人を設けるが離別し、現在は別居中の恋人がいるなどかなり複雑な環境に置かれている。
またバーバラ・ハーシーのヘアもバッチリ映っていたりで、想像以上にアダルティでハードな作品だった。


by odin2099 | 2018-07-18 06:33 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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