突然の嵐のために洞窟に避難した探検家たちは、そこで出会った考古学者から壁画に描かれた物語を聞かされる、という導入部で始まる。
その辺りの予備知識なしで見ていたので最初は混乱したが、ここで物語は一気に過去の世界へと飛ぶ。
原始時代は台詞なし。
いや、実際に登場人物たちは単語のみで何事か語り合っているが、それに字幕が付くでもなく、観客は身振り手振りから内容を察するしかない。
もっともそれで不都合があるわけではない。

ロック族は力が全ての狩猟民族。
長の息子トゥマクは父と対立し、更にマンモスに襲われ怪我を負ってしまう。
彼を助けたのはシェル族の娘ロアナ。
シェル族は平等や助け合いの精神を持っているが、トゥマクにそれは理解できない。
ただシェル族の槍が自分たちのものより優れていることは理解できた。
ロアナの献身もあって回復し、少しずつ仲間として受け入れられていくトゥマクだったが、ある時槍を自分の物にしようして争い、追放されてしまう。
ロアナは彼について行くことにする。
トゥマクは故郷へ戻り、実力で長となる。
その陰でロアナはシェル族の教えを少しずつロック族へもたらそうとしていた。
そんな時に火山が噴火、そして恐竜が襲い掛ってくる。
トゥマクはなんとかロック族とシェル族をまとめ、見事に恐竜を撃退し、ようやく平和が訪れる。
”恐竜映画”の範疇に入るものの、恐竜らしい恐竜は殆ど出てこない。
出てくるのはトカゲやワニを強引に恐竜と呼んだものや、象に装飾を施したマンモスなどなど。
それでも結構迫力ある”怪獣映画”には仕上がってるので、まんざらバカにしたもんじゃない。
当時はこれで観客には驚異の特殊映像だったのだろう。
それよりもいくら原始人とはいえ、出てくる人物がトゥマクをはじめバカばっかり。
嫌な奴だらけなので、見ていてイライラしてくる。
精神的に未発達で子供のような存在だったのだろうと製作側は考えていたのだろう。
その嫌な奴の筆頭、主人公のトゥマクを演じるのはヴィクター・マチュア、ヒロインのロアナはキャロル・ランディス。
”恐竜映画”のヒロインといえば革ビキニの半裸美女というイメージが強いが、この作品ではまだそこまで露出は多くないが、なかなかチャーミングだ。