『キングコング』
2018年 07月 28日
という以上に、ディノ・デ・ラウレンティスのプロデュース作品という文脈で語られることの多い作品で、賛否両論というより「否」の烙印を押されがち。それでもこのコンビは10年後に続編を作ってます。
斯様にキングコングというのは多くの人を魅了する存在なのでしょうか。
時期的には「大空港」、「ポセイドン・アドベンチャー」、「タワーリング・インフェルノ」などのパニック物の流れを汲み、かつポスト「ジョーズ」を目論んだ作品だろうと思いますが、ジェフ・ブリッジス、チャールズ・グローディン、ルネ・オーベルジョノワ、ジョン・ランドレクら出演者は、超大作映画としてはかなり小粒。これは大物俳優を起用してコントロール不全を起こすことを製作側が嫌ったからだとか。
しかし全てはヒロイン役の新人女優ジェシカ・ラングを際立たせるため、というのは深読みのし過ぎ?
島民に誘拐されてからは原住民仕様の薄物を纏わされますが、コングに捕まり追いかけられ、泥だらけになると滝のシャワーを浴びせられ(コングは息を吹きかけて彼女を乾かそうとしますが、その時の彼女が段々と官能的な表情に変わっていくのが意味深)、挙句には指で体中をイタズラされ、ドサクサ紛れで服をずらされおっぽいポロン。1933年版も2005年版も、ヒロインにここまでエロティックな描写はありません。
結局この映画は、お話がどうのこうのとか、コングがどうこうという以前に、ジェシカ・ラングのPVとして成立しているということでしょう。
子供の頃にエンパイア・ステートビルに上って以来「高所恐怖症」になったと語るヒロインですが、これは一種のセルフパロディ?
1933年版のクライマックスで有名なエンパイア・ステートビルはこの1976年版では登場せず、代わりに出てくるのがコングの故郷に似た風景(と無理矢理関連付けられた)のツインタワービル。この変更は当時相当叩かれたようですが、今となっては亡きワールドトレードセンターが舞台というのは感慨深いものがありますね。2005年版では再びエンパイア・ステートビルが舞台になりますが、これは1933年のオリジナル版と同じ時代設定とされたためです。
<過去記事>
https://odin2099.exblog.jp/2315686/