兜甲児はマジンガーZではなくダブルスペイザーに搭乗。
その為にグレンダイザーのオマケみたいな扱いになっているけれど、『マジンガーZ』、『グレートマジンガー』、『UFOロボ グレンダイザー』、『ゲッターロボ(&ゲッターロボG)』の主役たちが一堂に会した永井豪ロボットアニメの集大成。
甲児だけじゃなく、剣鉄也、宇門大介(デューク・フリード)、ゲッターチームの流竜馬、神隼人、車弁慶と6人の主役を立てるだけじゃなく、ボス・ヌケ・ムチャの3人組に弓さやか、炎ジュン、早乙女ミチル、そして弓教授、早乙女博士、宇門博士とほぼレギュラー総登場の豪華版。
そのキャラクターの見せ場の割り振り方にまず敬服する。
石丸博也、野田圭一、富山敬、神谷明らによる武器名、必殺技名の連呼も耳に心地よい。
「ゲッタービーム!」「アトミックパンチ!」「サイクロンビーム!」「サンダーブレイク!」「スペースサンダー!」「ブレストバーン!」「シャインスパーク!」各人各様の絶叫の競演。
そして耳に心地よいといえば音楽。
数々の名場面、名勝負を彩った渡辺宙明(『マジンガーZ』『グレートマジンガー』)&菊池俊輔(『ゲッターロボ』『グレンダイザー』)の豪華コラボ。
音だけでも楽しめるとはなんと贅沢な…。
お話の方は少々”でっちあげ”感があって残念な部分も。
共闘ありきで用意されたドラゴノザウルスはあまりにハイスペックすぎるし、その誕生の原因が垂れ流しにされた石油というのは逆にスケールが小さい。
原水爆実験とか核廃棄物の影響ぐらいハッタリをかましておかないと。
また複数の巨大ロボットが普通に共存してる世界で、宇門博士や弓教授、早乙女博士を集めておき乍ら、改めてロボット軍団を編成するというのは今更な感が強い(当然それ以前に何度も共同作戦をとってきただろうし)。
初めからそれが目的だったとしか思えない人選なのだから。
またゲッターチームは序盤に単独行動をとる関係上、中盤以降は出番が少ないし(シャインスパークでトドメは刺すが)、甲児はギャーギャー騒ぎ立てるだけで実は活躍らしい活躍がない。
実質的な主人公といえるのは鉄也だが、ストーリー全体の中では出しゃばり過ぎだし、メンバーのまとめ役に徹したデューク・フリードは終始影が薄い。
各人に過不足なく見せ場を用意するのは至難の業なのだ。
だがそんな中でも、リョウ・ハヤト・ベンケイらゲッターチームの関係性、ボスを巡っての甲児と鉄也のやりとりや、ボスとさやか、ジュンの短い会話、さやかの危機に反応する甲児等々随所に「らしい」言動が盛り込まれているので、キャラクター同士の会話は自然に入って来る。
重ねて言うが、脚本家や演出家による交通整理ぶりは本当に敬服に値する。
先に<永井豪ワールド>の集大成を目指した作品だと書いたが、企画段階では更に『デビルマン』『鋼鉄ジーグ』『キューティーハニー』の参戦も予定されていたようだ。
劇場版マジンガーの栄えある1作目は
『マジンガーZ対デビルマン』だったので、不動明と甲児が久々に再会するシーンは見てみたいし、ジーグは一度はグレンダイザーとの共演映画が企画されたものの没になっただけに、是非そのリベンジを果たしてもらいたかったし、はて、ハニーはどうやってストーリーに絡ませるのやら。
しかし最後だけに実現して欲しかったものだ。
それにしても
『ジャッカー電撃隊VSゴレンジャー』とこの『決戦!大海獣』を続けて見ると、祭りの後のどうしようもない淋しさがこみあげて来る。
一つの時代は間違いなく終わったのだなあ。
<過去記事>
https://odin2099.exblog.jp/2268047/https://odin2099.exblog.jp/23179734/https://odin2099.exblog.jp/25608760/