母を亡くしたジェーンは、まだ見ぬ高名な探検家の父ジェームズ・パーカーに会うため、単身アフリカの奥地へと降り立つ。
幼い頃に母と自分を捨てた父に反発するものの、やがて打ち解け探検隊に加わるが、ある日ライオンに襲われたところを一人の青年に救われる。
ジェームズの話によれば彼はターザンと呼ばれ、原住民からも恐れられている存在だというが…。
エドガー・ライス・バロウズ原作の『ターザン』映画ではあるが、主人公はターザンではなくジェーンの方。
ジョン・デレク監督が当時の(そして最後の)妻ボー・デレクを主演(製作も兼任)にした、これまた監督による嫁さん自慢映画だ。
最初に出てくるMGMのトレードマークのライオンの咆哮がエイプコールになっているのは洒落ているし、物語の語り部ともいうべき存在がチャールズ皇太子の結婚について触れ「ダイアナ妃と仲良く」なんて言ってるのは逆に洒落にならないが、皮肉を効かせたつもりなのだろう。
前半はリチャード・ハリス演じる傍若無人で大仰な探検家と、ジョン・フィリップ・ロー(『バーバレラ』の有翼人パイガー!)扮する実直なカメラマン、それにジェーンを交えた探検隊一行の観光地映画として進行し、三分の一を過ぎた辺りでようやくターザンの存在が語られるなど、タイトルロールでありながらターザンの存在感は本当に薄い。
ちなみにターザン役はマイルズ・オキーフで、本作以降はB級のアクション映画等で活躍している模様。
その分見どころはジェーン役ボー・デレクの肢体で、前半は控えめだが中盤からは露出が増え、無駄に水浴びのシーンがあったり、原住民の儀式(?)で全裸に剥かれたり、エンドロールに至ってはターザンとオランウータンと3人(2人と1頭?)で戯れる裸のジェーンが延々と映し出されるという謎のサービスショットが続く。
撮影当時のボー・デレクは24歳くらいだろうが、それにしても「男の人に触れるの初めて」とか「私はバージンよ」とか宣うのはギャグにしか思えない。
30年以上前にTVで放送されているのを見て以来だけれども、お話は本当に面白くない。
リチャード・ハリスの大袈裟な演技には辟易するし、ターザンはちっとも活躍しないしアクション演出もなってない。
ジェーンの危機を描いたら後はさっさとターザンに救出して貰いたいところだが、ターザンが現れても苦しむジェーンの描写が続き、ターザンがモタモタしてるだけにしか見えないのだ。
監督はカメラマンも兼任してるけど、そうまでして嫁さん映したいのか、と思ってしまう。
確かに魅力的なボディーではあるのだが。