Blu-rayソフトが出たので改めて観賞。
「好き(許せる)」部分と「嫌い(許せない)」部分が同居し、愛憎半ばという個人的には複雑な作品だ。
「許せない」部分は、まずはモールドの入った現代的にリファインされたマジンガーZのデザイン。
なまじ回想シーンでは往年のTVシリーズそのまんまのZやグレートが出て来るだけに、なおさら違和感が。
最後の出撃にあたって再改造、パワーアップを施した、という設定ならば…いや、それでも許せないな。
これはマジンガーだけの話じゃなく、新光子力研究所のデザイン含め世界観そのものへの不満でもあるが。

二つ目は声。
兜甲児の森久保祥太郎、剣鉄也の関俊彦、どちらも気取った癖のある喋り方。
甲児も鉄也も王道を行くロボットアニメのヒーローなのだから、そんなキャラクター造形は不要だ。
それにオリジナル版の声優である石丸博也、野田圭一との声質の違いも気になる。
「あれから10年後」の世界なら最低限イメージは踏襲し、更に「10年後」の歳月の重みをプラスすべきだが、それとは真逆な結果になっている。
特に鉄也に関しては完全なミスキャストと言わざるを得ない。
三つめは音楽。
主題歌「マジンガーZ」と挿入歌「Zのテーマ」のメロディは使われているものの、マジンガーと宙明サウンドは切っても切り離せない関係。
近年度々開催されている「渡辺宙明コンサート」へ足を運んでも、今なお色褪せない現役感に圧倒されるばかり。
渡辺俊幸の音楽が悪いという訳ではないが、そこは譲れないところだ。
他にもマジンガーインフィニティの存在、ドクターヘル復活の経緯、ミケーネ文明とリサの関係など「許せない」を上げて行けばキリがないのだが、その一方でそれらを凌駕するほどの「許せる」も存在する。
”声”は気に入らなくても、甲児、さやか、鉄也、ジュン、シロー、ボス、ヌケ、ムチャらは大事に描かれ、旧友との再会気分は十二分に味わえた。
そしてマジンガーZ出撃プロセスからのマジンガー無双。
それで全てが「許せる」とはならないものの、作品そのものは「全肯定」したい。
先ごろ本作でドクターヘルを演じた石塚運昇の訃報が伝えられた。
かつてのドクターヘルとは趣を異にするヘル像には違和感を禁じ得なかったが、巨悪としての圧倒的な存在感を見せつけられた。
現在進行中の作品も数多く、得難い役者がまた一人鬼籍に入られたのは真に残念である。
【ひとこと】
ぼすらーめんの客に黒鷲のドンがいるな。
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