『コンタクト』(1997)
2018年 09月 20日
ベストセラーとなった『コスモス』(及びそのTV化作品)で知られる天文学者カール・セーガン初の小説を映画化。
地球外知的生命体の存在を信じる電波天文学者のエリーは、周囲に疎まれながらも、ついに恒星ヴェガからの電波通信を傍受。解読されたその通信は、宇宙間移動装置「ポッド」の設計図であることがわかり、建造すべきか否かで世界は揺れる。
やがて建造された「ポッド」で旅立ったエリーは、そこで今は亡き最愛の父と再会する…?
少々理屈っぽい原作とは異なり、ビジュアルで「魅せる」作品となっている本作だが、ポイントとなるのは「科学」と対比して描かれる「宗教」の問題だろう。
日本人にはわかりにくい感覚だが、キリスト教圏のアメリカにあっては、異なる文明との遭遇、それによって起こるやも知れぬ「神」の価値観の変貌は、自身のアイデンティティーに関る重大問題なのだ。
主人公エリーを演じるのは知性派ジョディ・フォスター。
原作者も絶賛した彼女ではあるが、惜しむらくはもう数年早く演じて欲しかったもの。
監督交代劇等がなければもう何年か早くスクリーンに登場したはずで、今とは違った瑞々しいエリーの姿も見られたかと思うと残念。
また作品発表と同じに映画化が決定しながらも、実際に完成するまでには10年以上の歳月を必要とし、結果的にセーガンは完成作品を見ることなく亡くなったのも惜しまれる。
それにしても日本はまだまだ理解されてはいないようで、劇中の北海道の描写もかなり厳しい。