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『宇宙戦艦ヤマト/復活篇<ディレクターズカット>』

先日「宇宙戦艦ヤマト/復活篇」を見直したので、今度は「復活篇<DC版>」を。
<劇場公開版>は<劇場公開版>で捨てがたいのだけれども、どちらがより好みかと問われればこの<DC版>に軍配を上げる。

まず音楽と効果音が差し替えになったこと。これで「ヤマト」ムードが著しくアップ。
効果音は”新生”「ヤマト」なのだから旧作と同じ音にこだわらなくても、と<劇場公開版>を見た時には思ったのだが、やはり耳に馴染みのある音が聞こえてくると断然”燃え”具合が違ってくる。
そして音楽。<劇場公開版>でのクラシック音楽の使い方も興味深いし、一定の効果を上げてはいるものの、宮川泰の、羽田健太郎の音色の刷り込み具合とは比べるべくもない。

『宇宙戦艦ヤマト/復活篇<ディレクターズカット>』_e0033570_19505089.jpg物語の面では大きく二点。
一つ目は新乗組員たちの描写が増えたこと。
小林は単なる自信過剰で目立ちたがりの嫌な奴ではなく、彼なりの自尊心、並々ならぬヤマトへの想いを持っていること。上条は上条で、絶対に引けない信念(執念と言っても良いかも)を持ってヤマトに乗り込んでいること。美晴も年長者らしい視野の広さを持っていることなど、キャラクターを膨らませるシーンが多くなっている。

そしてもう一つはハッピーエンドではなくバッドエンドが採用されている点。
地球はブラックホールに飲み込まれ、真田、佐渡、アナライザーたちはその地球と運命を共にする。
SUS国の正体も目的も完全には明らかにされず、雪は行方不明のまま「第一部・完」。
<劇場公開版>ではSUS国を追い払い、ブラックホールの魔の手から地球を救って終わるので、雪の運命を別にすれば一応のハッピーエンドを迎えるので、続編への期待度、その必要性が下がってしまうのだ。
三部作の一作目ということを考えるならば、やはり<DC版>の終わりの方がより相応しいだろう。

ところで現行の「宇宙戦艦ヤマト2202/愛の戦士たち」が完結した後に、この「復活篇」の続編だかリブートだかが準備されているとの噂がチラホラ聞こえてきている。
確かに宙ぶらりんなままは困るのだが、そうはいってももう公開から十年近く経っているので今更続編というのもどうなのかなという気もしないでもない。
いっそ「2202」以後の時間軸の物語として、この「復活篇」ベースの物語を再構築してみては?とも考えるのだが、さて如何なものだろう。

<過去記事>



by odin2099 | 2018-10-29 19:55 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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