前作を見ている必要は必ずしもないのだが、これまでの「パトレイバー」とは雰囲気もキャラクターデザインも幾分か違うし、主人公は野明や遊馬といった若い二人ではなく、後藤と南雲。多少の予備知識はないと、初見の人は付いて行きにくいとは思う。
物語も、近未来を舞台にしたロボットアニメだと思っているとかなり面食らう。
風景を延々と映し出し、それにダイアローグが被るだけの地味なシーンも多い。
そして描写されるのはクーデターの形を借りたテロ行為。邦画では珍しいと思われるポリティカル・サスペンス物だ。
終盤では組織の本拠へレイバー隊が突入する派手な見せ場も用意されてはいるものの、物語上での必要性は薄く、あくまでアクション映画を盛り上げるための方便、アクセント、テクニックに過ぎない。
そしてラストも何のカタルシスももたらさず、行き過ぎた行為に及んだ主人公たちの「その後」も、決して明るいものではないだろうことを暗示して終わる。
「パトレイバー」としてはラストエピソードになるであろう。
その後の彼らの運命がどうなったのか気になるところではあるが、描かずに終わることで余韻を残した。
しかし、後に意外な形で「その後」が提示される日が来ようとは…。
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