ディズニーが自社制作のアニメーション映画の実写化に乗り出したのは、確かこの作品が最初。
映画の冒頭には幼い頃のアリス(6歳という設定らしい)が出てくるシーンがあるが、物語はその後一気に13年後に飛ぶ。後半ではアリスの想い出という形でこの幼い頃がもう一度出てくるが、どうやらこの時に彼女は”不思議の国(ワンダーランド)”に彷徨いこんでいた、ということらしい。
そして19歳になったアリスはそのことを忘れ、前回と同じような状況(白いウサギを追いかけ、薬を飲んで小さくなり、ケーキを食べて大きくなり…)を経て”不思議の国”にやってくる。

ジョニー・デップが演じるということで、”不思議の国”の住人たちの中ではマットハッターが大きな扱いに。例によって白塗りのおふざけ演技全開で、彼のファンなら愉しめるだろうが、主人公であるアリスの存在がやや霞む遠因にもなっている(ヘレナ・ボナム=カーターやアン・ハサウェイもかなり濃い役作りをしていることもあるのだが)。
そもそもファンタジー映画かと思って見ていると、アリスが剣を手に取ってモンスターの首を切り落とすシーンがクライマックスになっているアクション映画を、はたして「ふしぎの国のアリス」の映画化と呼んで良いものか微妙…。
ところで作品中でアリスは、小さくなったり大きくなったりを繰り返す。その度に彼女は全裸になってるはずだけどそんなシーンはないし、それを匂わせる描写も(殆ど)ない。ティム・バートンを監督に起用したせいかかなり毒気のある作品にはなっているものの、その辺は流石に”健全な”ディズニーといったところか。ちなみにバートン監督の憧れの俳優の一人、マイケル・ガフは本作が遺作となった。
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