宇宙世紀のガンダムを手っ取り早く愉しみたい場合、『ファーストガンダム』と『0083』には総集編の劇場版があるものの、その後は『逆襲のシャア』まで間が空いてしまう。
『Zガンダム』と『ガンダムZZ』にも総集編が必要だなとは常々思っていたのだが、まさか今どきTVシリーズの総集編を劇場版として作るとは考えてもみなかった。
という意味では製作の報を聞いた時は驚きもし、かつ嬉しくも感じたものである。
物語はかなりのハイテンポで進む。
なにせ約90分で1クール分を突っ走っているのだ。
またカミーユを軸とはしながらも、シャアやブライト、あるいはアムロの比重がTVシリーズ時よりもやや多め。
なので『ファーストガンダム』は見ていたけれど『Z』は見ていなかった、という層には、「ガンダムの続編」としてよりアピールしやすいものになっているのではないか。
一方でTV版『Z』の濃密な人間関係や泥臭いドラマが好きな人には、薄められすぎて物足りないのではないかと思う。
「A New Translation(新訳)」を謳って作られたこの劇場版三部作だが、個人的には普通のダイジェスト版で良かったのに、との思いが強い。
新規製作のシーンもかなり盛り込まれているが、明らかにそれと分かる程オリジナルとはかけ離れたキャラクターが右往左往するのが哀しい。
誰か調整する人物はいなかったのだろうか。
また音楽はTV版同様に三枝成彰が担当し馴染みのあるメロディが流れてくるが、気のせいか『逆襲のシャア』のメインテーマを彷彿とさせるフレーズも聞こえてくるようだ。
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