【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『ファンタスティックビーストと黒い魔法使いの誕生』(2018)

** ネタバレ注意! **

闇の魔法使いグリンデルバルドは案の定逃亡し、支持者を集めていた。

ニュートはベストセラーになった著書を直接ティナに渡そうと渡航許可を求めるが、ニューヨークでの大騒動の一件を持ち出し、魔法省は許可を出さない。闇祓いであるニュートの兄テセウスに協力すれば、との条件を持ち出すが、それは実は生き延びていたクリーデンスの身柄を確保せよとのものだった。ニュートはそれを断る。その魔法省でニュートは今はテセウスの婚約者となった友人リタと再会し、気まずい雰囲気に。

クイニーによって記憶を取り戻したジェイコブがニュートの元を訪れ、クイニーと結婚すると宣言。しかしそれは魔法使いと人間の結婚を禁じられたクイニーが魔法の力で言わせたもので、それをニュートに指摘されたクイニーは一人、姉のティナがいるフランスへと旅立つ。リタの婚約相手がテセウスではなくニュートだと勘違いしたティナは、傷心のまま仕事でフランスに滞在しているのだった。

そんなニュートの前にダンブルドアが現れ、グリンデルバルドを倒すために協力して欲しいと申し出る。グリンデルバルドはフランスにいるというのだ。ニュートは逡巡するものの、ティナがフランスにいることを知るとジェイコブと共にフランスへと飛ぶ決心をする……。

e0033570_19072388.jpg<ハリー・ポッター>シリーズの前章にして、「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」の続編。
ニュート、ジェイコブ、ティナ、クイニーのメインキャラクター4人は揃って続投となった。
正直言うとティナ以外のキャラクターを続編に絡めるのは難しいのでは?と思っていたのだが、メインストーリーにガッチリと食い込ませてきたのには驚いた。

前作では心を通わせた程度の描写だったニュートとティナが相思相愛。といってもコミュ障気味のニュートが自分の気持ちをハッキリ伝えることはなく、ティナはティナでリタに嫉妬し当て付けに別人と付き合ったりと行動がストレート。将来的にこの二人は結婚するという設定らしいが(その二人の孫が”不思議ちゃん”ルーナ・ラブグッドと結婚する)、これからのシリーズの中で二人が不器用乍ら愛を育んでいく様も見られるのだろう。

この二人と対照的な展開になっているのがジェイコブとクイニー。人間と魔法使いの恋を禁じられた世界で苦悩するクイニーは、グリンデルバルドの思想に感銘を受け、遂にその軍門に下る。彼女を愛しつつもその決断を支持できないジェイコブは彼女とは別の選択を。この二人がどういう結末を迎えるかで、シリーズ全体のトーンが決まるように思う。

<ハリー・ポッター>とのリンクも少しずつ明らかになる。
まずクリーデンスと逃避行を共にする美女がナギニ。<ハリー・ポッター>ではヴォルデモードの分霊箱の一つとなった大蛇が、元は変身能力を持った人間であったとは。
演じるのはクローディア・キム。どこかで見たことが、と思ったら「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」でチョ博士を演じたキム・スヒョンのことだった。
物語終盤で、グリンデルバルドに心酔しその陣営に加わったクリーデンスとは袂を分かったが、今後彼女が如何にして大蛇そのものと化し、ヴォルデモードの配下になったのかのドラマは興味深い。

「賢者の石」を作ったとされるニコラス・フラメルも意外な形での登場で、今回が単なる顔見せではないのであれば、今後のシリーズでも重要なポジションになるのだろう。特に不老不死をもたらすという「賢者の石」は、やがて姿を見せるであろうヴォルデモードを通じて両シリーズの橋渡しをするキーアイテムとなるかもしれない。ちなみにあまり知られていないようだが、錬金術師であったかどうかは兎も角としてニコラス・フラメルは実在の人物でもある。

そしてアルバス・ダンブルドア。
ジュード・ロウが後にリチャード・ハリスやマイケル・ガンボンになるとは到底思えないが、やはりこのキャラクターが出てこないとお話が進まない。全てを語らず思わせぶりで、自分は動かず(動けず?)他人を使役するというポジションは既に確立。ある意味で人たらしの名人なのかも。そしてチョイ役ながらも登場のマクゴナガル先生とは、もう良いコンビネーションを発揮している。

”最強の魔法使い”と言われながらもグリンデルバルドとの直接対決を避けているが、終盤でその理由が判明。その頸木から解放されたことで次回作以降は両者の対決色は否でも高まっていく行くのだろう。なにせ今はグリンデルバルドが所有しているニワトコの杖、ダンブルドアが彼との対決に勝たなければ所有権は移転しないのだから。

そのダンブルドア絡みで最大の衝撃となったのがクリーデンスの正体。
序盤でリタ・レストレンジの弟ではないかということが提示され、その謎解きが映画全体の柱にもなっていたのだが、最後の最後に明かされたのが、実はアルバス・ダンブルドアの弟アウレリウスだったということ。

公式にもアルバスの兄弟は弟アバーフォースと妹アリアナの二人だけとされており、如何なる経緯でグリンデルバルドがそれを知ったかも謎。もちろんグリンデルバルドが嘘を吐いているのかもしれないが、事実だとするとアルバス自身も弟の存在を知らないのかもしれない(母親が亡くなった時期から推測すると異母兄弟の可能性が強い)。原題の”Fantastic Beasts: The Crimes of Grindelwald”にそこまでの意味は読み取れないが、邦題にある「黒い魔法使いの誕生」という思わせぶりな一文は、クリーデンスを指していたのだろうか。

謎が謎を呼び、前作にあった「魔法動物を使った愉快な冒険」の側面は早くも影を潜め、<ハリー・ポッター>では4作目5作目あたりから顕著になった暗くて重たいトーンが、このシリーズではこの時点で露わに。先が気になるシリーズがここにまたひとつ誕生した。
順当に行けば完結は6年後。出来ればハッピーエンドを迎えて欲しいものだが、<ハリー・ポッター>を見る限りあまり期待は出来ないかも。

【ひとこと】
若きグリンデルバルトを演じたのは「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」と同じジェイミー・キャンベル・バウアー。
今のところ両シリーズで同じ役を演じた唯一の俳優だ。



by odin2099 | 2018-11-25 19:11 |  映画感想<ハ行> | Trackback(3) | Comments(0)
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