「ロッキー」シリーズ2回目の完結編。
前作同様に今はサブタイトルは省かれるケースが多い。
ロッキーは最初から視力に致命的な弱点を抱えているという設定があったものの、前作ではそのことに全く触れられずに米ソ戦を戦う完全無欠のスーパーヒーローとしてスクリーンに君臨していた。
本作でのロッキーは前作での対ドラゴ戦でパンチドランカーの症状が出始めているということで、再度の引退を決意、結果そのまま一度もリングに上がることがない、という異色作。
そのロッキーの前に若く才能のあるボクサー、トミー・ガンが現れ、ロッキーは自分の夢を託し二人三脚で再び脚光を浴びるが、一方で息子との関係が悪化してしまう。
また勝利を重ねることで謙虚さや従順さを失ったトミーはロッキーの元を去り、そのことでロッキーは改めて息子と向き合うという、二重の「父と息子の物語」となっている。
このトミーの豹変ぶりが実にわかりやすいのだが、クライマックスでロッキーとの師弟対決を期待した観客に肩透かしを食らわせ、ストリートファイトで決着をつけたのは反則だろう。しかしリングに上がらせなかったのは評価したい。といっても次回作でロッキーは再びリングに上がってしまうのだが。
トミー・ガンを演じたトミー・モリソン自身は役柄をなぞる様な境遇の新進気鋭のプロボクサーだったが、その後はHIV検査で陽性反応を示し、更に武器の密輸や薬物等で転落人生を送った挙句に若くして亡くなっている。ストリートファイトに敗れたトミー・ガンの方はどうなったのだろうか。そのまま引退を余儀なくされたのか、それともヒールとしてそこそこの戦績を収めたのか。そちらも二人のトミーが重なって見える。
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