ベトナム帰還兵の悲哀を描いた前2作と異なり、今回のランボーはソ連のアフガン支配を打破するべく戦場に赴く。
といってもランボーは勿論自ら進んで15万人のソ連軍を相手にしにいくのではない。そこはソ連軍に拉致されたトラウトマン大佐を救出するため、というエクスキューズが用意されている。

スタローンは演技派ではないだろうが、同じアクションヒーローに分類されるロッキーとランボーとでは、きっちりとキャラクターを演じ分けている。
どちらも圧倒的な強さを持っているのではなく、耐えに耐えて逆転というパターンは踏襲。これはキャラクターに人間味を持たせるためのテクニックの一つだろう。
ロッキーはKO寸前(あるいはKOされた後の再戦)、ランボーは拷問や虐待に耐えての反撃がお約束だが今回のランボーは拷問されるシーンがなく、代わりに痛めつけられるのはトラウトマン。その後の二人の脱出行では、流石にランボーを鍛えた男だけのことはある、という活躍を見せてくれるので、後半は”ワンマンアーミー”の代名詞ランボーには珍しくバディ物の雰囲気が漂う。
そのクライマックスは荒唐無稽を通り越してもはやファンタジー。悪いソ連をぶっ潰せ!強いアメリカ万歳!と叫び、拳を握りしめ画面を凝視するのみ。
ただ公開のタイミングが悪く、現実世界では映画の公開直前にソ連軍が撤退。
そしてソ連崩壊、タリバーンの台頭へと繋がっていく。
もしもう少し早く公開されていたらシリーズ最高成績も望めたかも。