
続編シリーズで初めてタイトルにナンバリングがされない『ロッキー』シリーズの完結編。
もう一つ違うのは、これまでの続編と違って前作のラストに直結しておらず、時間経過が置かれていること。
なのでオープニングも、前作のクライマックスであるファイトシーンでは始まらない。
もっとも前作でロッキーはボクサーを引退し、最後もリング上ではなくストリートファイトだったので、これを冒頭に持って来られても盛り上がらないとは思うが。
ロッキーが現役復帰するというストーリーを聞いた時はジョークかと思ったものだが、作品はその予想を覆す出来栄え。
現役復帰を決意する過程が弱いとは思うものの、妻亡き後、疎遠になっている息子との和解を絡め、そして街の人々に支えられてリングに上がるロッキーには素直に快哉を叫びたい。
そしてこれは”大人のおとぎ話”なんだと割り切って、判定に敗れたとはいえ最終ラウンドまで現役チャンピオンと戦い抜いたロッキーの姿に、叶わぬまでもせめてもの”己の見果てぬ夢”を投影したいと思うのだ。
これにてロッキー自身の物語には綺麗に終止符が打たれたが、この世界はまだまだ英雄を必要としているようだ。
今度こそ蛇足だと思われたスピンオフ世界に蘇ったロッキーは、また見事な存在感を見せてくれているのだが、それはまた別の話――。
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