【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『ネバーエンディング・ストーリー』(1984)

e0033570_20375451.jpg空想癖のあるいじめられっ子、それが主人公のバスチアン。良く言えば夢見る心を持った少年、悪く言えば現実逃避型の少年である。そんな彼が手に取った本の題名、それが『ネバーエンディング・ストーリー』。
この本を読み進めて行くうちに、バスチアンは不思議なことに気付く。本の中の主人公・アトレーユの物語に、なんと自分自身が存在していることに。

このアトレーユの物語の舞台となっている<ファンタージェン>は、<無>によって消滅の危機に瀕していた。アトレーユはこの世界を救うべく、様々な苦難に出会う冒険へ旅立つことになる。しかしこれらアトレーユに課せられた試練の全ては、読者(=バスチアン)を惹きつける手段に過ぎなかったのだ。

実は<無>とは<絶望>そのものであり、<夢>や<希望>を人間が失いつつあるために、その具象化である<ファンタージェン>が滅亡寸前になっていることが明らかにされる。その<ファンタージェン>を救う鍵は<夢>をたくさん持った少年の存在…。これは、ある種現代社会に対する警鐘だとも言える。人は<夢>や<希望>を失ってはいけないのだ、という強いメッセージを内包した映画なのだ、と。

ブライアン・アダムス指揮するSFXは、このファンタジー世界を見事に具現化して見せた。技術的には難点があるものの、ファンタジーとしての説得力のある映像を作り出した手腕は評価して良い。
音楽も、クラウス・ドルディンガーに加えての売れっ子ジョルジオ・モロダーの参加は、プラスに作用しているようだ。一例をあげるなら、ラッキー・ドラゴンのファルコンが翔び立つと同時に流れるBGMが『E.T.』のクライマックス・シーンを彷彿とさせる盛り上がりを見せてくれるなど、なかなか聴かせてくれるのが嬉しい。

e0033570_20381296.jpgそして監督のヴォルフガング・ペーターゼン。劇中劇の形式をとる本の中のアトレーユの物語と、その本を読んでいるバスチアンの対比。そのしっかりとした構成は観る者を飽きさせない。製作中から期待していただけに、その願いは報われた思いである。

――これが公開当時の感想である。

ところがこれから10年近く経ってから改めて観直してみたのだが、これが実につまらない。ストーリー構成はチグハグで物語世界に一向に入って行けず、ラストの展開もあまりに唐突。これはショックだった。記憶の中で美化しすぎていたのだろうか。
それとも自分がファンタジー世界で遊ぶだけの、ゆとりを失ってしまったのかも知れない。
次に観る時は、また違った想いを抱くのだろうか。

  × × × ×

以上、「しねま宝島」から転載。

改めて見てみると、絵は綺麗だけれどもお話は薄っぺらい。
読者(バスチアン)を引き付けるだけの為に艱難辛苦を味わう羽目になるアトレイユが気の毒。
最初に見た時は「なるほど」と感じた部分ではあるが、もう少しスムーズにバスチアンのいる現実世界と、ファンタージェンを繋げなかったものかな、という思いはある。小説と映像という媒体の違いは勿論あることは承知の上で、であるが。



by odin2099 | 2019-01-16 20:45 |  映画感想<ナ行> | Trackback | Comments(0)
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