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『クリード/炎の宿敵』(2018)

『クリード/炎の宿敵』(2018)_e0033570_06201312.jpgチャンピオンと善戦したことで一躍注目の的になったアドニスは、その後連戦連勝を続け、再戦の末にチャンピオンを下しベルトを手にした。
ビアンカへのプロポーズ、そして彼女の妊娠の発覚と正に幸せの絶頂にあったアドニスの元に、新たな挑戦者が名乗り出る。
その名はヴィクター・ドラゴ。
かつてアドニスの父アポロを葬り去ったイワン・ドラゴの息子だった。

ロッキーに敗れたイワンは全てを失い、その怒りや口惜しさを全て息子のヴィクターに叩きこみ、復讐の機会を狙っていたのだ。クリード対ドラゴ、世界が注目する一戦を受ける決意を固めるアドニスだったが、ロッキーは止めるように忠告し彼の元を去ってしまう。
そして始まった因縁の試合だったが、ヴィクターの圧倒的なパワーの前にアドニスはリングに沈み、重傷を負ってしまう。
判定の結果はヴィクターの失格となったものの、誰の目にも真の勝者は明らかだった。

賢明なリハビリを続けながらも恐怖心が拭えないアドニス。
その彼を見守る養母メアリー・アン、ビアンカ、そして母親の遺伝か耳に障害を持って生まれてきたわが娘。
だが遂に彼は立ち上がる。
再び彼をサポートすることになったロッキーの元で、地獄のトレーニングが始まった。

『クリード/チャンプを継ぐ男』に続く2作目で、『ロッキー』シリーズとしては通算8作目。
原題は”CREED II”とシンプルだが、邦題は”『ロッキー4/炎の友情』の続編”を大きく意識したものとなった。

頂点から一夜にして転落、というのはロッキーも辿った道だが、アドニスの場合は天狗になったり自分を見失ったりということよりも、「父を殺した男」からの挑発にまんまと乗ってしまったという面が大きい。
かつて自分も同じような経験をしたロッキーはアドニスを止めるが、それを聞き入れる彼ではない。
これはもう邦題にあるように「宿敵」だから必然である。

米ソの代理戦争の様相を呈していた『ロッキー4』のイワンは、あくまでヒールに徹していてロッキーにとっては「倒すべき敵」だった。
だから観客はロッキーの勝利に熱狂した訳だが、本作ではアドニスに感情移入して素直に応援できるかというとそれは難しい。
敗戦後にイワンの妻ルドミラは早々に夫を見限り、残された父子は社会の底辺で暮してきた。
この父子を描くだけでも優に一本の映画が作れるだろう。

一方を単純な敵役にせず、両者の言い分を描き、双方を立てて物語を構築するには至難の業だったと思うが、最後のイワンの決断を含め、クリード(及びロッキー)とドラゴの恩讐を越えた繋がりを描き切ったのはお見事。
前作で癌に倒れたロッキーは本作では病気の兆候は見せないが、それでもハッキリと老いを感じさせる描写を盛り込むなどシルベスター・スタローンの枯れた演技は本作でも光っている。

そして短い出番乍ら異彩を放ったのはルドミラ役で出演したブリジット・ニールセン。
『ロッキー4』当時はスタローンとラブラブでその後に結婚。
『コブラ』で再共演するも短期間で泥沼の離婚劇を繰り広げる羽目になったとも伝えられているが、物語上で唯一とも言える”悪役”ポジションでの出演をオファーする方もする方だが、了承する方もする方である。
双方共に大きい。
またマイロ・ヴィンティミリアが『ロッキー・ザ・ファイナル』に続き、ロッキーの息子として出演しているのも嬉しい。

【ひとりごと】
『エクスペンダブルズ』シリーズでスタローンと再共演を果たしているドルフ・ラングレン。
それはそれで嬉しかったが、もしそれがなく今回が「あの時」以来の”再共演”だったら、もっと感慨深かっただろうな。



by odin2099 | 2019-02-03 06:27 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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