
今年はアポロ11号の月面着陸から50年。
その節目に合わせその偉業を描いた物語――なんだと思っていた、製作の報を聞いた時は。
実際はアポロ11号の船長として、人類史上初めて月面を歩いた男ニール・アームストロングの伝記であった。
テストパイロット時代にあのチャック・イェーガーから失格者の烙印を押され、幼い娘を病気で失い、宇宙飛行士に応募して選ばれ、ジェミニ8号に乗り込み初のランデブーとドッキングのテストを成功させるものの、その後に起った事故で九死に一生を得、そしてアポロ11号に乗り込み――その間に事故で友人たちを何人も失い、家族との絆も断ち切れそうになり、と凡そ偉人伝、サクセスストーリーとは程遠い”事実”が淡々と描かれていく。

流石にアポロ11号の飛行には時間が割かれているものの、ニール自身が沈着冷静で自己顕示欲に乏しく、生真面目で面白みのない人物だけあって、映画も実に地味で盛り上がらない(故に数々のトラブルも克服してきたと言える)。
これはこれで評価する声も高いのだが、個人的には期待していた要素が皆無で何とも物足りないものとなってしまった。
いつの日か見直した暁にはこの想いがガラッと変わっている可能性もないではないが。
それにしても初登場シーンから終始ニールとそりが合わなそうなバズ・オルドリンが、何故ニールと組んでアポロ11号に乗り込むことになったのか、映画を見ているだけではまるでわからない。
彼だけでなく、登場する宇宙飛行士たちの為人は立花隆の名著
『宇宙からの帰還』で一通り押さえていたつもりだったのだが、誰が誰なのか初見ではピンと来ないのではないだろうか。
【ひとりごと】
この手の作品にエド・ハリスの顔が見えないと何となく淋しい。