*** ネタバレあり! ***
『宇宙戦艦ヤマト2202/愛の戦士たち』も遂に完結。
”『さらば』でも『ヤマト2』でもない”だの、”あらゆる予想を覆し”だの、煽り文句は勇ましいが、結局のところ『2199』の時のバーガーの台詞、「こんな結末、認められるかよ!」に尽きる。
確かに『さらば』でも『ヤマト2』でもなかった。
プロデューサーサイドからの要請は、『さらば』をやってくれ、でもメインキャラは殺さないでくれ、というものだったという。
それって『ヤマト2』じゃないの?とツッコミを入れたくなるところだが、きっと『ヤマト2』にはエモーショナルな部分が足りないということなんだろう。
エモーショナルという点では今回の作品は泣ける。
徳川が、アナライザーが、土方が、加藤が、桂木透子が、斉藤が、キーマンが次々と命を落とす。
前回までにフラグの立ったキャラは粛々と死んでいく。
徳川は死なせるために動かされたように感じたし、アナライザーは唐突過ぎる。
加藤は逆に「生き延びて恥をかく」ことがそれこそ”あらゆる予想を覆し”じゃないのかと思ったが、「死んでお詫びを」のパターンに落ち着いた。
そしてキーマンに至っては、死なせるために作りだされたキャラ、使い捨ての駒というだけでガッカリだ。
ガミラスの未来を彼に託すという選択肢はなかったのか。
そのガミラス側のドラマ、デスラーとキーマンそれぞれの苦悩と葛藤はまだわかるのだが、ガトランティス側のグダグダっぷりはもはや「ヤマト」を逸脱している。
傲岸不遜乍ら正々堂々としていた旧作のズォーダー大帝が懐かしい。
今のズォーダーは不器用でこじらせ系のDQN。
そしてあのラスト。
『さらば宇宙戦艦ヤマト』をなぞって綺麗に終わるのかと思わせて、古代と雪は死んでません、実は高次元で生存していました(どういうこと?)、時間断層の消滅と引き換えになら助けられます、さて地球の皆さんどうします?と国民投票。
更なる続編作るには古代と雪には生きていてもらわなきゃならないし、ドラえもんのポケットじゃないけど万能装置の時間断層の存在も邪魔。
その両方を解決する一石二鳥の方法がこれとはねぇ…。
『さらば』の後にドラマを作るなんざ確かに”予想を覆した”とは言えるけど、唖然茫然。
これを大団円とみるか、それとも蛇足と解するか、受け止め方は様々だろうけど、因果地平の彼方へ飛んで行って神様の領域に到達するというのは、こりゃ「ヤマト」じゃないね。
ニシザキでもマツモトでもない、見ていて思わず「トミノか?!」「イデか?!」と思ったのはナイショ。
いずれにせよ旧作ファンはともかく、新しいファンたちがこの結末をどう受け止めたのか。
好意的に受け止めてくれ、次への期待を繋げられたなら、それはそれで良かったと思う。
老兵はただ口をつぐむのみ。
スタッフ、キャストの皆さんはひとまずお疲れ様。
おそらく数年以内にはまた新しいヤマトが飛び立つんだろうけど、それまではしばしのお別れ。
ところで旧作準拠ではなく『2199』で新規に登場したキャラの扱いは酷かったな。
新見も星名夫婦も桐生も篠原も沢村も榎本もロクに登場すらしない。
西条は雪の交代要員でレーダー読み上げてるだけだし、真琴にしても加藤の妻というだけの役割。
使いこなす自信がなかったのか、知らないキャラだから邪魔だったのか。
もう少し大事に、効果的に扱えなかったものだろうか。
スターシャとの約束――波動砲問題もどうなったのかよくわからんし(スターシャ、結局物語に絡んでこないし)、デスラーはいつの間にかしれっと復権してるし、雪の”失われた記憶”というのも便利なツールとして使われただけだし、本当にこれで良かったのかなあ……。