「ドラえもん」長編映画の39作目で、今回は辻村深月が脚本を担当し、月を舞台にしたオリジナルストーリーが繰り広げられる。

長編「ドラえもん」の世界はテンプレートがしっかりしているので、次がどういう展開になるのかはある程度予想がつくし、またそうであるが故の安心感を愉しむもの。
のび太とドラえもんが創りだした世界でのなんだかんだが発端で、異世界の住人と遭遇し、障害を乗り越え困難に立ち向う中で友情で結ばれ、最後にはちょっとだけホロリとさせられる別れがあり…というお馴染みのパターン。
そしてリアリティとメルヘンが絶妙な割合でブレンドされているのが「ドラえもん」の”SF”=”すこし不思議”な世界。そんな藤子・F・不二雄テイストはきちんと守られているので、オリジナル?と不安に感じる必要はない。
またテンプレートが確立しているということは、その気になれば誰でも簡単にお話を作れそうなものだが、やはりそれなりの力量のない者だと既存のF先生の諸作品のイミテーションやパッチワークに終始してしまいそう。その点でも本作ではそのハードルを易々とクリアしているので大いに楽しめた。
ラストのオマケ映像によると、来春公開の40作目はどうやら恐竜がメインで出てくるようだ。
そちらも楽しみ。