
ロシアで反乱が勃発。
反乱軍は核兵器をも手中に収め、米国と日本を攻撃すると脅迫してきた。
この事態に米軍は、叩き上げのラムジー艦長が指揮する原潜アラバマを出動させる。
やがてアラバマは本国からの指令を受けるが、受信中に敵原潜の攻撃を受け通信が途絶えてしまう。
その通信を巡って攻撃準備を進めるラムジーだったが、新任のエリート副長のハンターは指令の確認を求め、激しく対立する。
もう四半世紀近く前の作品だが、相変わらずハンス・ジマーの音楽は格好良い。
劇場で見て気に入り、すぐにサントラCDを買ったことを思い出す。
テレビ放送の際などにも何度か見直したつもりでいたのだが、きちんと見るのは実は劇場公開時以来だということに鑑賞メモを見ていて気が付いた。
正式な手順を踏んだ命令に対しては、同様に正規の手順を踏んだ中止命令がなければそのまま遂行するべきとするラムジーの判断が正しい。
ただそれが不完全な状態での受信だったならば、先ずは確認すべしとするハンターの判断も正しい。
ということで単純に両者を一方が善で一方が悪と判断してはいないが、叩き上げとエリート、白人と黒人という具合に二人の対立要素をわかりやすく増やし、またハンターがラムジーの指揮権を剥奪すれば、ラムジーも腹心の部下を集めハンターを封じ込めようとするなど双方の行動がエスカレートするので、どちらにも感情移入がしにくい。

また結果的に中断されたのは中止命令だったことでハンターの正当性が認められ、悪役ポジションとなったラムジーは早期退役(でお咎めなし)という温情処分を受け、一方でラムジーの強い推薦でハンターがアラバマの次期艦長に就任するという流れは一見するとハッピーエンドに思えるが、これはたまたまそうなっただけで米海軍の持つ本質的な問題の解決には至ってないという点では些かモヤモヤが残る。
もし中断されたのが攻撃命令で、それを実行しなかったがためにアラバマだけでなく日米両国が深刻なダメージを被っていたとするならば、ハンターは取り返しのつかない行動を取ったことになるからだ。
だがこの作品はポリティカル・サスペンス風味ではあっても堂々たるエンターテインメント大作であり、デンゼル・ワシントンとジーン・ハックマンが双方共に引かず、堂々たる演技合戦を繰り広げているので純粋にそれを愉しむべきだろう。
今でも十二分に見応えのある、”静かなる”アクションドラマである。
【ひとこと】
キーとなるキャラクターを演じているのはヴィゴ・モーテンセン。
当時は全然印象に残っていなかった。
彼が気になりだしたのは
『ダイヤルM』あたりからで、その後『ロード・オブ・ザ・リング』三部作でブレイクしたのはご存知の通り。