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『ルパン三世/DEAD OR ALIVE』(1996)

『ルパン三世/DEAD OR ALIVE』(1996)_e0033570_22523842.jpg今朝はモンキー・パンチの訃報で目が覚めた。
そこで追悼の意味も込めて、原作・監督としてクレジットされたこちらの作品を再観賞。

国王とパニッシュ王子を殺害した首狩り将軍が独裁政権を敷くズフ国。
その漂流島と呼ばれる場所に国王が隠した財宝が眠っているという。
首狩り将軍はじめ財宝を狙う者は後を絶たないが、その島を護る防御システムの前に成功した者はいない。
ルパン、次元、五ェ門も敢え無く撤退を余儀なくされた。

その島の防御システムの鍵を握っているという将軍の娘エメラに接触するルパンだったが、実はそれは秘密工作員オーリエンダーが化けた偽者だった。
ルパンを追ってズフ国にやってきた銭形の計略に嵌り、アジトを急襲されてしまうが辛くも脱出する。

ルパンから死んだ筈のパニッシュを見かけたと聞かされたオーリエンダーは、彼を探して街を彷徨う。
一方のルパンたちには懸賞金がかけられ、銭形、首狩り将軍、それに賞金稼ぎたちからも命を狙われる羽目に――!

モンキー・パンチ初監督作品!がウリだが、出来上がりはかなりお寒い。脚本や演出よりもトータルの仕上がり面が、である。
特に作画の荒れ具合は、大スクリーンで見せるにはあまりにお粗末。スケジュールはかなりきつかったらしいが。
救いはルパン三世役の栗田貫一が大部慣れてきたこと。
やっと物真似から芝居になりつつある。
但し山田康雄のイメージを大切にしたい製作側の意向もわからないではないが、将来を考えれば物真似ではない栗田貫一としてのルパンを演じさせるべきだろう。石田太郎がコロンボ役を自分のものにしていったように。

去年の『くたばれ!ノストラダムス』は仕方ないにしても、レギュラー・メンバーの年齢がかなり上がってきた今となっては第二、第三の山田康雄がいつ現れないとも限らない。
全員物真似させるのか?
ここらあたりでレギュラー・メンバーを一新するくらいの思い切りが必要ではないのか?
――劇場で鑑賞した当時のメモを引用。
で、今回23年ぶりに見直して見たものの、うーん、やっぱり面白くない。
それ以前に、全くお話覚えてなかったが。

とあるキーパーソンの正体については多くは語らないが、「いつから気付いていたのか」「いつからそうなっていたのか」「何故それが成立しうるのか」等々を考えて行くと矛盾だらけ。
これ、最初から「わかって」見ていても納得しがたいのではないか。

また当時のメモ読むとクリカンにかなり寛容だったが、改めて聞いているとうすら寒い。
なまじっか”山田康雄の幻影”を背負って聞いてしまうだけに、素人演技の稚拙さが際立って感じられてしまう。

また他のヴォイスキャストも総じて聞いていて辛いものがある。
例えばこの作品の銭形は、従来作品のように「ルパンにしてやられるだけの三枚目」路線ではなく、それなりの実力者として描かれてはいるのだが、これが全盛時の納谷悟朗ヴォイスであったならば…。

峰不二子も然り。
そういえばこの作品、1時間半強の上映時間の、残り30分を切る辺りまでルパンと不二子は顔を合わせないというのも珍しい。

そして「ルパン三世のテーマ」は流れるが、音楽担当が大野雄二ではないのも違和感。
当時の興行成績がどうだったのかわからないが、少なくても大ヒットではなかったはず。
『ルパン』は2作で打ち切られ、翌年から東宝のGW戦線には『名探偵コナン』が登板。
以後20年以上に亘りヒットを続けているのはご承知の通り。

ということで希少価値と思ってこの作品をセレクトしてはみたものの、色々と不満だらけになってしまって失敗。
自分にはとことん合わなかったのだなあ。
今週の「金曜ロードショー」では急遽予定を変更して『ルパンVS複製人間』を放送するようだが、その方が無難だったかも(『カリオストロの城』を持ってくるかと思ったが、さすがにヘビーローテーション気味か)。



by odin2099 | 2019-04-17 23:02 |  映画感想<ラ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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