幼い頃に義父から性的虐待を受けたことを切っ掛けに、キョウコはレズビアンのナオミ、ビッチなゆかり、子供の頃のままのハルと共存する多重人格者になっていた。
ある日、マンションの隣人が憧れの小説家だと知ってから、キョウコの中の何かが変わり始めた。
そして彼女の周囲で謎の殺人事件が起きる…。
大石圭のホラー小説を中田秀夫が監督した、KADOKAWAとハピネットの共同製作による「ハイテンション・ムービー・プロジェクト」の第1弾。
キョウコを飛鳥凛、そのキョウコの別人格をそれぞれ大島正華、松山愛里、中谷仁美が担当し、四人一役でヒロインを演じ分ける。
他にキョウコの憧れの小説家役で水橋研二、キョウコを強圧的に支配する母親役に根岸季衣らが出演。
四つの人格の中に殺人鬼がいるのか、それともまだ知らない第五の人格が潜んでいるのか――という興味で引っ張っていくが、ホラー映画というよりエロティック・サスペンスで、飛鳥凛、大島正華、松山愛里の3人はヌードも披露。
というよりも明らかにそれがセールスポイントで、序盤から飛鳥凛が大胆なラブシーンを熱演している。
殺人を犯したのは誰なのかが明確には描かれないこと(第五の人格が存在していたとも、キョウコ自身が覚醒したとも受け取れる)、見せ場となる濡れ場が物語上の必然性に乏しいと感じられたこと、そしてラストシーンはどうやらハッピーエンドを意図したもののようだが、個人的にはそうは解せなかったこと等々、フラストレーションを感じてしまう場面もあったものの、ホラー映画が苦手な自分でも愉しめた。未読の原作小説も気になりだしている。