一代で巨万の富を築き上げた大富豪レオニデスの突然の死。
私立探偵のチャールスは、レオニデスの孫娘で死体の第一発見者である元恋人ソフィアから、祖父は誰かに毒殺されたとして調査を依頼される。
亡き前妻の姉・大伯母イーディス、若い後妻のブレンダ、映画製作の資金が欲しい長男フィリップと女優を続けたい妻マグダ、その子どもである長女ソフィア、長男ユースタス、次女ジョセフィンの姉弟妹たち、父から受け継いだ会社が倒産寸前の次男ロジャーと一族から離れたがっている妻クレメンシー、子どもたちの家庭教師で実はブレンダの愛人ローレンス、そして長年一家に仕えている乳母……
巨額の遺産を巡り、誰にも動機があった。
そんな中でチャールズが真相に一歩近づいたと思った矢先に、第二の殺人事件が起きてしまう…。
アガサ・クリスティー自身がベストに選んだ中の一篇が、初の映画化とのこと。
脚本はジュリアン・フェロウズ、監督はジル・パケ=ブレネール。
出演はグレン・クローズ、マックス・アイアンズ、テレンス・スタンプ、ジリアン・アンダーソン、ステファニー・マティーニ、クリスティーナ・ヘンドリックス、アマンダ・アビントン、オナー・ニーフシー、クリスチャン・マッケイ、ジョン・ヘファーマン、ジュリアン・サンズ、プレストン・ナイマン、ジェニー・ギャロウェイ。
原作未読だったので、真犯人が明らかになった瞬間はゾクゾクっとした。
実際のところ疑わしい人物は数多く出てくるが、何れも決め手に欠くので見ている間はかなり見当違いの推理をしていたのだが、明かされてみれば他にはいないだろうなと納得いくものではあった。
だが後味は決して良くはない。
そして全てが解決した後に登場人物たちが余韻に浸るというようなものではなく、真相が明らかになった瞬間にバーンと「終」の文字が出て場内が明るくなるという、古典的映画のような趣きだった。
正直「これで終わり?」という驚きがないでもなかったが、こういう割り切り方もいっそ清々しいものがある。
ソフトスルーでも構わないので見せて欲しい。