
子育てをしながら夫であるマーティンと共に大学で法律を学ぶルース。
しかし首席で卒業しながらも、「女性である」というだけで彼女を雇ってくれる弁護士事務所はなく、已む無く大学教授の職に就くことになる。
「全ての人間は法の下に平等」を謳いながら、実際は性差別を認める法律が数多く存在している。
そんな法律を変えて行こうと熱心に学生たちに語るルースだったが、自分が弁護士になりたかったとの不満をついマーティンに漏らすこともあった。
そんなルースにマーティンはある訴訟の話をする。
親の介護は女性の役目だとして、費用の控除を認められなかった男性の件だ。
ルースは、もしこの法律が憲法違反だと認めさせることが出来れば、差別撤廃へ向けての大きな一歩となることに気付き、無償で弁護を買って出る。
マーティンと二人三脚で法廷へと向かうルース。
だがその行く手には様々な障害が待ち受けていた。
自ら男女の差別に苦しみながらも、一時は大病を患った夫を献身的に支え、二人の子供を育て、86歳となる今なお最年長の連邦最高裁判事として活躍するルース・ベイダー・ギンズバーグ。
そんな彼女を主人公にした、事実に基くサクセスストーリーである。
監督はミミ・レダー、出演はフェリシティ・ジョーンズ、アーミー・ハマー、ジャスティン・セロー、キャシー・ベイツ、サム・ウォーターストン、スティーヴン・ルート、ジャック・レイナー、ケイリー・スピーニーら。
脚本を書いたダニエル・スティープルマンはルースの甥とのこと。
キャリアだけを見てしまえば単純に「強い女」のレッテルを張られてしまいそうだが、フェリシティ・ジョーンズは凛とした強さと、時に少女のようなあどけなさ、頼りなさげな表情を見せるので、観客は自然に彼女の主張を受け入れやすくなっている。
彼女が主演じゃなければ、見ようという気にならなかったかも知れない。
ただ劇中では15年ほどが経過しているはずだが、子供の成長以外に時間の流れがそれほど感じられないことや、夫が癌に倒れ苦学するシーンが後に及ぼす影響が軽微なために、敢えて盛り込む必要があったのかという点に若干の疑問符がつくこと、それに夫と娘に支えられて成功を収めるという展開に甘さが感じられるので、彼女自身の功績がともすれば霞んでしまっているように感じられること等々、不満点がないでもないが、法廷シーンもそれなりに見応えがあり2時間でコンパクトにまとめられているのも良い。