心地好い充足感と、言い知れぬ喪失感。
3回目は<字幕スーパー版>で鑑賞。
林完治の手になる字幕も悪くはないが、情報量は圧倒的に吹替の方が上。
例えばローディが披露する、タイムトラベルをネタにした映画やドラマのタイトル列挙。
字幕では殆ど拾えていない。
またセリフのニュアンスも微妙に違い、キャラクターの受け止め方がかなり違って感じられる場面もしばしば。相変わらず難のあるキャストが数名いるものの、作品とじっくり向き合うのならば<日本語吹替版>を推奨したい。
実はこの作品、見る前にかなりの情報を得ていた。
過去世界での破壊される前のストーン回収がアベンジャーズの任務になることと、エンシェント・ワンとラムロウ、ハーレイ少年の登場。キャシーが成長した姿で出てくることも。
スティーブがムジョルニアを持ち上げることも、トニーとナターシャが死ぬことも、ソーのビール腹、それにスティーブが自分の人生を取り戻すことも。
知らなかったのはロバート・レッドフォードやマイケル・ダグラス、ミシェル・ファイファー、レネ・ルッソ、マリサ・トメイ、ナタリー・ポートマンらが出てくることぐらいか。
それでも、先を知っているからといって愉しめないということはなかった。
キャップがムジョルニアを奮うシーンにはワクワクしたし、仲間たちが集合して「アベンジャーズ・アッセンブル!」と号令をかけるシーンは興奮した。
そしてトニーが覚悟を決めるシーンはゾクゾクし、自分の人生を生きたスティーブが皆の元へ戻ってくるシーンには涙した。
その証拠に、三度見てもまだ飽きない自分がいる。
製作サイドは否定しようとも、これは紛れもない前後編、二部作だ。
続けて大きなスクリーンで見ることに意義がある。
「私がアイアンマンだ」で始まった物語、(サノスの「私は絶対なのだ」に対して)「ならば、私はアイアンマンだ」で締めくくり。
22本の作品は、ここに全て綺麗にまとまったのである。
さて、トニーとスティーブのいないこれからのアベンジャーズはどうなるのだろう?
ソーはガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと共に旅立った。
本作でロバート・ダウニーJr.やクリス・エヴァンス共々契約満了が伝えられていたクリス・ヘムズワースは、聞くところによると契約を更新し、あと2本の出演契約を結んだという。
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー3」と「ソー4」は確定ということか。
ハルクと一体化したブルース・バナーはどうだろう?
ブルースの語るべき物語も、本作で終ったように思う。
残っているとすればベティ、そしてロス長官との間の問題だが、ナターシャとのロマンスを挟んでしまった以上、今さらという気もしないでもない。
スパイダーマン、ブラックパンサー、ドクター・ストレンジらは単独作品が控えているので、まだまだ活躍してくれそう(ただスパイダーマンに関しては、契約上の問題から早晩<MCU>から去るような気もするが)。
また今のところ一度も劇中で「キャプテン・マーベル」とは呼ばれていないキャロル(キャプテンが二人いると混乱するから?)も、これからの<MCU>を引っ張っていくであろうキャラクターだ。
”キャプテン・アメリカ”を継ぐことになるのかどうかわからないがファルコンとバッキー、スカーレット・ウィッチ、ホークアイは配信ドラマもあるし、ローディ共々何らかの形でこれからの作品にも出てくれるだろう。
それに新たに参入するキャラクターも当然出てくるわけだし、X-MENやファンタスティック・フォーも加わってくるので頭数は問題ないだろうが、それでもこれまでのアベンジャーズのようなまとまりには欠ける。マーベル・スタジオのことだからこれからの戦略も抜かりなく練られているのだろうが、それでも一抹の不安は残る。
特に「アイアンマン抜き」となれば、わが国での苦戦は必至と思われるが、さて、どうなることやら。
ところで今までの<MCU>はリアルタイムか過去が舞台になっていた。
「インフィニティ・ウォー」は2018年、「エンドゲーム」はその5年後の2023年が舞台。
これを受けて展開されるであろう「スパイダーマン/ファー・フロム・ホーム」は初めて未来を描く作品になるということか。
今後の作品群は全て未来の時制で描かれるのだろうか。
それとも現実世界が追いつくまで、作品世界では大きな時間経過は描かれないのか。
それともこの時間のはざまに、これまで<MCU>世界には存在しなかったミュータントを導入する秘策があるのか。興味は尽きない。
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