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『居眠り磐音』(2019)

『居眠り磐音』(2019)_e0033570_22545227.jpg将来を嘱望される身でありながら故郷で藩命とはいえ自ら友を斬る羽目になり、その妹である婚約者を捨て脱藩し、江戸へと流れてきた坂崎磐音は、鰻屋で職人として働く傍ら両替商の用心棒も務め、やがて長屋の大家やその娘からも信頼されるようになる。
そんな折、幕閣を揺るがす巨大な陰謀に巻き込まれてしまう。世話になった大切な人たちを守るため、磐音は否応なしに剣を手に立ち上がる。

佐伯泰英の人気時代小説シリーズの映画化作品で、主演は松坂桃李。
共演は木村文乃、芳根京子、柄本佑、杉野遥亮、佐々木蔵之介、谷原章介、中村梅雀、柄本明。
監督は本木克英。

松坂桃李は「侍戦隊シンケンジャー」でデビューして十年。
そのタイミングでオファーされた”侍”という役どころに運命的なものを感じたとのことだが、平素は温厚で人当たりが良く、時に頼りなく見られて周囲から何かと気に掛けられるものの、ひとたび剣を取れば無双、というキャラクターを好演している。

『居眠り磐音』(2019)_e0033570_22543362.jpgただ松坂桃李にチョンマゲ姿(というか月代姿)が意外に似合わないことと、物語が前半で描かれる”哀しい過去”と、後半の”現在進行形の陰謀劇”に分断されてしまっているのが惜しい(そして個人的には柄本明のオーバーアクトが作品のトーンを乱し気味なのも気にかかる)。

原作での幾つかのエピソードを取り込んだからなのだと思うが、例えば過去の悲劇の背後にあったものが、現在の事件に直接間接問わずとも影響を与えている、関係があるということであったならば、素直に物語を追えたのかな、とも思う。

勿論それでは原作を離れた全く別の物語になってしまうであろうことは承知の上での、言っても詮無い戯言の類ではあるのだが、なまじ全体の雰囲気が良いだけに、ついつい無いものねだりをしてみたくもなろうというものだ。

原作小説は全部で51巻あるそうで、更に外伝や後日談もあるとのこと。当たれば続編のネタには事欠かなそうだし、”過去編”の悲劇にも何やら今回は触れられていない裏もありそうだ。
はたして令和の世に新たな時代劇ヒーローの誕生となるだろうか。



Tracked from 映画に夢中 at 2019-06-07 19:12
タイトル : 居眠り磐音
佐伯泰英の人気時代劇小説「居眠り磐音 決定版」シリーズを松坂桃李の時代劇初主演で映画化。共演は木村文乃、芳根京子、谷原章介、中村梅雀、柄本明。監督は「超高速!参勤交代」シリーズの本木克英。NHK木曜時代劇「ちかえもん」を手がけた藤本有紀が脚本を担当。あらすじ:3年間の江戸勤番を終えた坂崎磐音は幼なじみの小林琴平、河井慎之輔とともに九州・豊後関前藩に戻った。琴平の妹・舞は慎之輔に嫁ぎ、磐音もまた、琴平と舞の妹である奈緒との祝言を控えていた。しかし、妻の舞が不貞を犯したという噂を耳にした慎之輔が舞を斬っ...... more
Tracked from ふじき78の死屍累々映画.. at 2019-06-07 22:08
タイトル : 『居眠り磐音』109シネマズ木場6
▲きゃー磐音さま。 五つ星評価で【★★★この流れで良いか?】 松坂桃李演じる磐音のいい奴感が高く、それをゆったり演じているのも実に贅沢ではあるが、彼が義理の兄を殺めたという理由で恋人と別れて脱藩出奔してしまう行動を取るのが今一つピンと来ない。恋人に「合わす顔がない」とは言うものの、そこを乗り越えるのが従来の小説の主人公達のメンタリティーなので、そこを忌避してしまうなら、それはそれでそういう...... more
Tracked from yutake☆イヴの《映.. at 2019-06-08 20:18
タイトル : 映画『居眠り磐音』★サムライ桃李・磐根の涙目が切なすぎて..
作品について http://cinema.pia.co.jp/title/177017/ ↑あらすじ・クレジットはこちらを参照してください。 ・磐音: 松坂桃李☆ 雷蔵サマの“眠”狂四郎ならぬ、“居眠り”とは! パロディかと、思っていましたら(^^♪ 眠サマにも劣らない、剣豪☆磐根! 磐根は、許嫁:奈緒の兄を斬ったのち、江戸に流れた。 (その兄とて、“不幸”に見舞われ末 上意討ちされる...... more
Tracked from ノラネコの呑んで観るシネマ at 2019-06-14 22:11
タイトル : ショートレビュー「居眠り磐音・・・・・評価額1650円」
由緒正しい“ザ・ニッポンの時代劇” 。 三年間の江戸勤番を終え、郷里の豊後関前に戻った三人の幼馴染、坂崎磐音、小林琴平、河出慎之輔が、仕組まれた誤解により殺し合い。 暴走した琴平が慎之輔を殺し、松坂桃李演じる坂崎磐音は、許嫁の奈緒の兄でもある琴平を、上意討ちせざるを得なくなる。 佐伯泰英の原作は未読で、以前放送されたNHKドラマ版も観ていなかった。 予告編の印象からコメディタッチかと思って...... more
Commented by ふじき78 at 2019-06-07 22:07 x
> そして個人的には柄本明のオーバーアクトが作品のトーンを乱し気味なのも気にかかる

だがしかし、30年くらい時が過ぎ、柄本明を知らない若い人が見た時、これはこれで新鮮に映るのかもしれない。あくまで普段の柄本明を知るが上での違和感ではないかと思う。
Commented by odin2099 at 2019-06-08 07:26
> ふじき78さん

うーん、柄本明を知らない人が見ると「芝居の下手な役者さん」に感じないかなあ。
まあ正直言って好きな役者さんではないんだけどね。
Commented by ふじき78 at 2019-06-09 02:02 x
時代が違う役者の極端な演技を見る時、例えば左卜全や上田吉次郎の演技など、凄い極端な演技だなあとは思ってもあまり下手な演技だなあとは思わない。そんな感じに感じるようになるのじゃないかと思います。
「下手だなあ」と思われてもきっと本人死んでるから逃げ切りでいいんでしょ。
Commented by odin2099 at 2019-06-09 21:14
> ふじき78さん

やっぱり自分の感性とは合わないんでしょうねえ。
そこまでしなくても、という思いが勝っちゃいます。
by odin2099 | 2019-05-18 23:02 |  映画感想<ア行> | Trackback(4) | Comments(4)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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