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『旅のおわり世界のはじまり』(2019)

『旅のおわり世界のはじまり』(2019)_e0033570_21555158.jpgバラエティ番組のレポーターとして葉子はウズベキスタンにいた。
思うような画が撮れず、また現地人の気質に翻弄されるスタッフたちだったが、彼女は淡々と与えられた仕事をこなすだけ。スタッフとも現地人ともコミュニケートを取らず、美しい風景に目を留めることもなく、仕事が終われば彼とLINEで連絡を取るだけの毎日だった。

葉子の目標は歌手になることで、帰国後はミュージカルのオーディションを受けることが決まっていたが、今の自分と理想とのギャップに悩んでもいたのだ。
そんな葉子だったが、一人で繰り出した街での出来事を切っ掛けに、少しずつ彼女の中で何かが変わろうとしていた。

前田敦子って凄い女優だなと思いながら見ていた。
劇中ではこれといった大きな事件も起きず、他に出てくるのはカメラマン役の加瀬亮、ディレクター役の染谷将太、AD役の柄本時生、通訳兼コーディネーター役のアディズ・ラジャボフぐらいで、ほぼ彼女だけが全編出ずっぱりなのだが、その圧倒的な存在感。

『旅のおわり世界のはじまり』(2019)_e0033570_21560105.jpg正直言うと彼女が劇中で何度か「愛の讃歌」を歌うシーンは、そこだけ急にミュージカル映画風になるので「なんじゃらほい」と思わないでもなかったが、夢は夢で持っていて、一方では現実的に目の前の(意にそぐわない)仕事も割り切ってやる”プロフェッショナル”な部分と、途中で恋人の安否を気に掛ける”少女”の部分とのギャップも含め、実際に自分も彼女に同道してロケに参加しているかのような臨場感を味わった。

劇中で体当たりレポートに挑戦する葉子のように、もはやアイドル出身女優ではない前田敦子に脱帽。

【ひとりごと】
劇中でスマホをいじる前田敦子の指使いの速さに驚く。
若い人はあれくらいのスピード、当たり前なんだろうなあ…。




by odin2099 | 2019-06-23 22:01 |  映画感想<タ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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