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『新聞記者』(2019)

『新聞記者』(2019)_e0033570_20574801.jpg医療系大学新設計画に関する極秘情報が、東都新聞に匿名FAXで届く。
その書類は日本人の父と韓国人の母を持つ記者・吉岡エリカに託され、彼女は真相を突き止めるべく取材を開始する。
彼女はかつて優秀な記者でありながら、時の政権の暗部に迫った挙句に誤報を出したとして責められ、自ら命を絶ったという父に近づきたいという強い意志で、自らも報道の世界に飛び込んだのだ。

一方、外務省から内閣情報調査室へ出向してきているエリート官僚の杉原拓海は、国民のために安定した政権運営を維持するいう名目の元、不都合なニュースをコントロールする任務にジレンマを抱えていた。
そんなある日、尊敬する外務省時代の上司である神崎と久々に再会するが、神崎はその数日後に杉原に謎めいたメッセージを残し自殺してしまう。

『新聞記者』(2019)_e0033570_20575840.jpg神崎の葬儀の席上、吉岡は偶然杉原と出会う。
吉岡は調査の結果、神崎の存在に突き当たり、匿名の情報源は神崎ではないかと思い至ったのだ。
杉原も内調が神崎をマークしていたこと、そして自分がその仕事から外されていたことを知り、大きな陰謀が隠されていることを確信し、吉原にコンタクトを取る。

東京新聞記者・望月衣塑子の同名ベストセラーを原案にしたポリティカル・サスペンス。

出演はシム・ウンギョン、松坂桃李、本田翼、岡山天音、郭智博、長田成哉、宮野陽名、高橋努、西田尚美、高橋和也、北村有起哉、田中哲司。
監督は藤井道人。

『新聞記者』(2019)_e0033570_20580920.jpg劇中には、首相にベッタリの御用作家が起こした女性ジャーナリストのレイプ事件が逮捕寸前にもみ消され、更に被害者女性が行った顔出しの記者会見をハニートラップだったと否定する筋書きに変えられる過程が出てきたり、全体的に「森友学園問題」「加計学園問題」を彷彿とさせる描写が多かったりと、よくやったと思う部分が多い。
これを機に日本でも”政治”を題材にした作品が増えて欲しいものである。

ただ惜しむらくはあのラストシーン。
色々含みを持たせたかったのだろうとは思うのだが、その選択肢の中には結局のところ官邸の圧力に屈する小市民の姿というのもあるのだろうか。
何か日本におけるフィクションの、政治批判の限界というものを感じてしまった。
「これが良い」「絶妙な匙加減だ」という意見もあるだろうが、個人的には腰砕けにしか思えず、ここまで描くならそのまま突き抜けて欲しかったという思いの方が強く残る。







by odin2099 | 2019-07-02 21:03 |  映画感想<サ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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