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『復刻!東映まんがまつり 1973年夏』

このプログラムの公開が1973年の7月18日だということを知り、1984年夏に続いてこちらも見返してみることに。

マジンガーZ対デビルマン』、『仮面ライダーV3対デストロン怪人』の2本の新作映画をメインに、『ロボット刑事』、『キカイダー01』、『バビル2世/赤ちゃんは超能力者』、『魔法使いサリー』の豪華6本立て。
TVエピソードそのままでも、こりゃ当時の子どもたちを黙らせるだけのキラーコンテンツですね。

『復刻!東映まんがまつり 1973年夏』_e0033570_20390533.jpg『ロボット刑事』は実はTVエピソードそのまんまじゃなく、再編集のダイジェスト。
野田圭一の軽快なナレーションにのせて、作品世界を端的に紹介していきます。
千葉治郎(矢吹二郎)扮する新條刑事の兄を演じているのは、その実兄の千葉真一、なんていうマメ知識まで盛り込まれてますね。
千葉真一と千葉治郎が兄弟というのは、現役視聴者世代にも割と浸透してたように記憶してますけど。

『魔法使いサリー』は女の子向け作品をラインナップに加えようという判断でしょうが、放送が終わって4年近く経ってる作品が何故選ばれたのでしょうか(そしてこの回、徹底的にすみれちゃんがギャグ要員になってます。美少女なのに可哀想)。

丁度”魔法少女”モノは小休止の時期だったので、直近の『魔法使いチャッピー』終了からも半年以上経ってるし、72年夏の<まんがまつり>で上映してるからというのもあったのかも知れませんが、『サリー』が劇場にかかるのは4作品目なんですがねえ。
今だ衰えていなかった人気と知名度、なのかしらん? 

ちなみに73年春は5回目の登板となる『ひみつのアッコちゃん』が選ばれてますので、作品選定の苦労がしのばれます。
その前年、前々年は順当に(?)『魔法のマコちゃん』や『さるとびエッちゃん』が劇場に掛りました。

『キカイダー01』は第1話。
お話は発端だけで終ってしまい”次へ続く”なので、見てるとフラストレーションが溜まります。
おまけにエンディング映像には3話から登場するキカイダーも映ってますから、ダブルキカイダーを見せろ!という気分にもなっちゃいます。

『バビル2世』は2本目の劇場公開版なのでサブタイトル付。
浩一と同等の超能力を持つ赤ん坊が登場。
その能力をヨミに悪用され、浩一が重傷を負ったタイミングで操られたロプロスとポセイドンがバビルの塔を襲撃する、という娯楽編です。
この『バビル2世』こそ『魔法使いチャッピー』の後番組で、その『バビル』の後番組が『ミラクル少女リミットちゃん』、『魔女っ子メグちゃん』と続いていきますので、”魔法少女”不在はバビルのせい?

リアルタイム視聴世代で、このタイトルにワクワクしない子供なんていないんじゃないの?というぐらいにインパクトある作品が、しかも2本!これはズルい。

同時期公開のライバル番組<東宝チャンピオンまつり>はというと、『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』、『レインボーマン』、『ウルトラマンタロウ』、『科学忍者隊ガッチャマン』、『おもちゃ屋ケンちゃん』、『山ねずみロッキーチャック』という番組構成だったので、自分なら迷いながらも<まんがまつり>を選ぶでしょうなあ。
あ、上映期間は微妙にずれているので、映画館で激突したわけではなさそうです。
また自分はどっちも見に行けませんでした。

従来の<まんがまつり>は”世界名作物”的な新作の長尺アニメ作品がメインで、これにTV番組を数本加えるというパターンが多く、「仮面ライダー」が登場して以降はTVヒーローの新作映画も作られるようになってきましたが、所謂”名作物”抜きでTVヒーローの新作(しかも長尺!)2本がメインとなるのは<まんがまつり>史上初めて。
この”名作物”を邪魔に感じる子どもたちも少なくなかったと思われますので、東映としても賭けだったと思いますが、まずは成功と言えそうです。
80年代に入ると”名作物”は激減し、やがてなくなります。

『Z対デビルマン』は何度見てもワイドスクリーンを大胆に活用した演出に唸らされますし、『V3』はアクションの派手さ…は今の方が上かもしれませんが、独特の間や外連味は魅力的です。
大言壮語してるだけのデビルマンが弱すぎるとか、四国へ急ぐんなら20時間もかけてのんびり「さんふらわ」号なんかに乗ってないで、飛行機で行けば3時間ぐらいで着くんじゃないのとかツッコミたいところは多々ありますが、日本のヒーロー映画史上、欠くべからざる傑作と断言します。

しかしこの6本を見ると3時間近く。
途中で2回くらい休憩が入ったと思いますが、昔の子どもたちは今よりも我慢強かったというか、画面に集中出来たのかなあ。
ま、走り出すやつが一人か二人はいたものですが。

<過去記事>


by odin2099 | 2019-07-18 20:45 | 映画雑記 | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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