1作目が怪獣映画、2作目が戦争映画とすると、この3作目は伝奇モノ?
三部作と一括りにされ、SF映画としても評価されているこの<平成ガメラ>だが、実は一作一作はかなりバラエティに富んでおり、改めて20世紀の終わりを飾るに相応しい作品群だったのだなあと思う。
公開から既に20年を経ているが、クライマックスが古都京都に設定され、更にガメラとイリスの最終決戦が、まだオープンしたばかりだった京都駅ビルを舞台に行われるせいか、ビジュアル面でも古さを感じさせない。
この作品に続く「ガメラ」がなかなか作られないこともあって、今なお現役感が漂っている。
ただ物語上のマイナス面として、メイン格の登場人物が多すぎて散漫な印象を与えてしまうのは、以前指摘した通り。
中でも勿体ないなあと思うのが、山咲千里扮する”謎の美女”朝倉美都。
古から代々続く巫女の末裔といった役どころだが、彼女が本当にイリスと関係を持ってたのかが不明なので完全に浮いているのだ。
平たく言えば、ヒロイズムに酔い痴れてるだけの勘違いオバサン(失礼!)にしか見えない。
彼女と、結果的にイリスと融合することになった少女・綾奈との確執というか対抗意識みたいなものがもっと前面に出たならば、もう少し盛り上がり方も違ったように思う。
もっともそれが”怪獣映画”に求められる盛り上がり方かというと、些か疑問ではあるが。
この6年後の2006年には続編ではなく仕切り直しの映画
『小さき勇者たち/ガメラ』が公開され、また2015年には「ガメラ生誕50周年記念」として、新作映画のパイロットフィルムを思わせる映像がWeb上で発表されたりもしたが、その後は音沙汰なし。
来年は生誕55周年、そろそろ新しいガメラをスクリーンで見たいものだ。
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