原作は松本零士の<ザ・コクピット(戦場まんが)>シリーズの一篇「スタンレーの魔女」。
これを元に御笠ノ忠次が脚本・演出を手掛け、2006年の「スペースノイド」による
初演、2008年の「サバダミカンダ」旗揚げでの
再演を経て、三度目の上演と相成った。
出演は石井凌、
唐橋充、宮下雄也、池田竜渦爾、
松本寛也、永島敬三、松井勇歩、宮田龍平、津村知与支。
主人公となるパイロットの敷井の同僚たち(爆撃機の搭乗メンバー)各人のキャラクターを掘り下げ、友軍の戦闘機乗りに敷井のライバル的キャラクターを配し、戦場での落ちこぼれ集団のワチャワチャした日常を描いて膨らませ、青春群像劇として仕立てる。
松本零士色は希薄になったが、一個の舞台作品としては十二分に愉しめるものだ。
前回公演から11年ぶりということもあり、どんな芝居だったか忘れてしまっているだろうと思いきや、意外に一つ一つのやり取りなども覚えていて驚く。
台本は基本そのままで、細かい芝居を演者に合わせて変更・調整している(あるいはアドリブか?)のだろうか。
因みに音楽は初演時から同じメロディが使われている。
そして演技者が変われば同じ台詞が違う意味を持つこともある。
同じ展開の筈なのに所々記憶にあるのと違う雰囲気が醸し出されていたが、これが”生の芝居”の面白さだろう。
その一方で間が悪かったり、意味不明に思えたやり取り、諄く感じたりする場面もそのままだったが。
公演は渋谷のDDD青山クロスシアターにて7月28日~8月8日まで。
それにしても小さく、わかりづらい劇場だった。
以前行ったことがあるという知人に、前以て場所の雰囲気を聞いていなかったら、迷っていたかもしれない。