大人気のゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズを題材にした初の映画化作品で、シリーズの中から「ドラゴンクエストV/天空の花嫁」のストーリーを元に、シリーズの生みの親である堀井雄二が原作・監修を務め、八木竜一と花房真が共同監督、そして脚本・総監督は山崎貴が担当。音楽はもちろんすぎやまこういち。
ヴォイスキャストは 佐藤健、有村架純、波瑠、坂口健太郎、山田孝之、ケンドーコバヤシ、安田顕、古田新太、松尾スズキ、山寺宏一、井浦新、賀来千香子、吉田鋼太郎ら。

「ドラゴンクエスト」はプレイしたことがなく、どんなお話なのかも知らなかったのだが、日本のRPG、そしてファンタジー物を代表する作品だから、という軽い気持ちで鑑賞。
それに、実際に映画を見たゲームファンがこぞって不満をぶちまけていたので、へー、そうなの、という下司な興味もあって映画館へ足を運んだ。
それともう一つ、かつて「ドラゴンクエストV/天空の花嫁」のノベライズを担当した久美沙織から訴訟を起こされたことも下世話な興味をかきたてた。
なんでも本来ゲーム版の主人公には名前がなかったのに、この映画版では小説版オリジナルの名前が勝手に使われたのだ、という。
別に映画上映の中止とかDVD等の販売中止を望んでるわけではなく、きちんと使用許可を求め自分の名前をクレジットしろと求めているとのことで、これは映画の製作サイドの落ち度だろう。
ということで手探りで見始めた映画版、”選ばれし者”であるらしい少年が神秘の剣を手に入れ、世界を救うための冒険を続け乍ら成長していく、のかと思っていたら、途中で二人の美女と出会ってどっちを選ぼうか迷ったり、自分は勇者なんかじゃないと自己否定し続けていてやっとその気になったら、実は”選ばれし者”は息子の方で、親子二代じゃなく三代に亘る冒険譚だったと肩透かしをくらったりと、シリアスなお話じゃなくて基本はコメディなんですな。
まあ絵は綺麗だし、今まできちんと聴いたことはなかったけど耳に馴染みのあるメロディが流れてくるし、如何にもダイジェスト映画でございとばかりにサクサクお話が進んでいくのも「ま、仕方ないか」と感じつつも見て行くと、いよいよ物語は佳境へ。
決め手となるアイテムを駆使し、クライシスをやっとの思いで回避してメデタシメデタシと思いきや、そうか、ここかー!
こりゃゲーマーは怒るわな。
映画は一気にメタフィクションに突入。
これはプレイヤーがVRで体験してるゲームの中の世界でした。
ゲームなんてくだらない、そんなものやってないで早く現実世界に戻りなさい。
――おおきなお世話だよね。
せっかくファンタジー世界で愉しく遊んでるのに、最後の最後でこんなこと言わなくてもいいんじゃないの?
「オレは”ドラクエ”の映画が見たかったんだ~!」という、至極真っ当な期待には応えなくていいの?
一応は「ゲームをプレイしていた時間は無駄じゃない」「ゲームの世界で確かに自分は生きていた」とゲーマーを肯定する結論を出し、ただのマスコットキャラかと思われたスライムが本当はアンチウィルスだった、ということでゲーム世界は復活。主人公も見事にハッピーエンドを迎えるものの、ゲームをクリアしてしまえば現実世界に戻らなければいけなくなる、として本当のラストは見せない、という終わり方。
うーん、これで良かったのかねえ。
【ひとこと】
フローラ姫、出番あれだけ?
てっきり最終決戦でリュカに加勢するもんだとばかり…。