訪問看護師の白川市子は訪問看護師として大石家に出入りし、その家族からも大きな信頼を寄せられていた。
ある日次女のサキが行方不明となる。
数日後無事に保護されたものの、その犯人は市子の甥だった。
家族にそのことを打ち明けようとする市子だったが、真相を知った長女の基子から固く止められる。
だがやがて市子と犯人の関係がマスコミの知るところとなり、市子にあらぬ疑いがかけられる。
そして追い打ちをかけるようにある人物しか知らない筈の彼女の秘密が漏れ、その結果彼女は職を失い、恋人との結婚も破談になる。
数年後、裏切り者への復讐を誓った市子は”リサ”と名乗り、ある人物へと近づいて行く。
主演は筒井真理子、共演は市川実日子、池松壮亮、須藤蓮、小川未祐、吹越満。
脚本・監督は深田晃司。
物語は”市子”のパートと”リサ”のパートが並行して描かれるので、最初のうちは戸惑うものの、やがてその仕掛けが意味するものに気付いたころにはグイグイ引き込まれていく。
それにしても本来は事件とは直接関係なかったはずの市子が、マスコミや興味本位の一般大衆によって”加害者”の側に仕立てられ、一転”被害者”となった彼女が復讐を決意するという流れが、誰にでも起こりうるのだという点で怖ろしい。
そしてそれが実はたった一人の人間の、”憧憬”や”愛”と形容すべき行き過ぎた感情の発露、その結果の”歪み”から生じているというのも二重の怖さだ。
善良なだけでは、人は幸せにはなれないのだろうか。
筒井真理子の”市子”と”リサ”の演じ分けというか、温度差は見事。
ただ、ヘアヌードも見せる熱演ではあるものの、正直そのシーンはいらなかったかな。
そして市川実日子。
色々な意味での”怖さ”を感じさせる女優だ。