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『記憶にございません!』(2019)

演説の最中に聴衆からの投石を受けて昏倒、そして目覚めた時、”史上最悪の総理大臣”と呼ばれた男は記憶を失っていた、という三谷幸喜が脚本・監督を務めたコメディ映画。
このことは数名の側近のみのトップシークレットと扱いとし、秘書官たちの助けを借りながら難局を乗り切ろうとするのだが、家族や閣僚たちの名前も顔も思い出せない有様。
それにあろうことか、暴言を吐きまくりの嫌われ総理とは真逆の性格になってしまっていたのだ。

『記憶にございません!』(2019)_e0033570_18262076.jpg三谷監督作品はこれが8作目。その中で自分が見ているのはこれを含めて5本。
自分にとっては割と当たり外れのある監督なのだが、これは当たりの方だ。

中井貴一、ディーン・フジオカ、石田ゆり子、小池栄子、斉藤由貴、吉田羊、寺島進、濱田龍臣、梶原善、藤本隆宏、迫田孝也、木村佳乃、山口崇、草刈正雄、佐藤浩市と芸達者な個性派を集めてのドタバタ劇は十二分に愉しめた(有働由美子やROLLYや川平慈英なんて、言われなきゃどこに出てたんだかわからないくらい)。

記憶を失ったことで自ら勉強し、またスタッフにも援けられクリーンな政治家へと転身。政界に新風を吹き込み、バラバラだった家族の信頼を取り戻し、政敵を追放し…と良いことづくめだが(しかし国民からの支持率はそう簡単に回復せず)、本来の記憶を取り戻した途端にサイアクの総理に逆戻り、という展開を迎えるかと思いきや、実は途中で記憶が戻ったものの記憶を喪失を装い、本当に心を入れ替えていた、というのは甘々だけれどもハッピーな結末。

見終ってふと思い出したのが、ケヴィン・クラインとシガニー・ウィーバーが共演した「デーヴ」
あれは記憶喪失ではなく、急病の大統領の影武者になったソックリさんがイメージを一新して国民の支持を得、そして腹心の陰謀を暴くという内容だったっけ。



by odin2099 | 2019-10-23 06:15 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


by Excalibur
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