毎日必ず手紙を書くと言い残し、婚約者であるポリーヌを置いて戦場へ行ったヌヴィル大尉。
ところが待てど暮らせど彼からの手紙は来ず、とうとうポリーヌは病に臥せってしまう。
妹の身を案じた姉のエリザベットは一計を案じ、ヌヴィルの振りをしてポリーヌ宛の手紙をしたためる。
たちまちポリーヌは回復し、奇妙な文通が始まった。
エリザベットは調子に乗ってヌヴィルの活躍を次々とでっち上げ、最後には勇敢に戦って戦死したことにしてしまう。
ヌヴィルの武勇伝は街中に知られ、英雄として銅像も建てられるのだった。

3年後、ポリーヌは別の男性と結婚し子宝にも恵まれているが、そこに”死んだ筈の”ヌヴィルがひょっこり帰ってきた。
嘘がばれることを危惧したエリザベットはなんとか街から追い出そうとするのだが、逆に屋敷に居座ってしまう。
かつての婚約者の突然の帰還に胸をときめかすポリーヌ、英雄のお近づきになろうとする街の人々。
図らずも共犯関係になったエリザベットとヌヴィルは果たして…?
メラニー・ロラン演じるエリザベットは自立心に富んだ聡明な女性ですが、意外にこじらせ女子だったりするし(これは「長女あるある」なのでしょうか)、対するジャン・デュジャルダンのヌヴィル大尉は女たらしで小心者、そしていい加減なヤツではありますが、決して起用に立ちまわる狡猾なタイプではありません。
どちらかというとこの二人によるコンゲームの色合いが濃いので、予告編を見た時に感じた”恋のさや当てを愉しむ艶笑劇”とはちょっと違うのですが、それでも波乱万丈、ハラハラドキドキ、次は一体どうなってしまうんだろう?!――というような予想を覆す展開なんぞというものはなく、終始ニコニコしながら見ていられる1時間半でした。
最後にはいがみ合っていた二人が結局結ばれ、メデタシメデタシのハッピーエンド。
かと思いきや、意外な窮地に立たされてしまうヌヴィル大尉。
そこで彼の取った選択肢は”逃げの一手”。
これを予期していたんでしょうか、唖然とする周囲を他所目に笑い飛ばすエリザベット。
このまま帰ってこないのか、それとも数年後にはしれっとした顔で戻ってくるのか、さてどちらなんでしょうね。