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『海のトリトン』PART2(1979)

『海のトリトン』PART2(1979)_e0033570_160582.jpg『宇宙戦艦ヤマト』に始まったアニメブームの、その萌芽とも言える作品『海のトリトン』は、前述の通り2本の劇場用作品としてまとめられました。
これはその、結局は劇場未公開に終ってしまった後半部分です。
冒頭には前編のダイジェストが付いていますが、やはり2本続けて見るのが望ましいでしょう。

『トリトン』がアニメブームの萌芽と呼べるのは、大規模なファンクラブが結成されたりしてファン活動が活発化したことや、女子中高校生あたりにキャラクター人気が広まっていったなどの現象もありますが、製作サイドに目を向けると、これが『ヤマト』のプロデューサー西崎義展が初めて手掛けたアニメーション作品であることと、『機動戦士ガンダム』の原作・総監督である富野由悠季(喜幸)の初の総監督作品だからだという理由もあります。
しかも原作は手塚治虫
ということは要するに、良くも悪くも日本のアニメーション界を引っ張っていったビッグネームが、並んでクレジットされている稀有な作品なのです。

実際は手塚治虫は作品製作にはノータッチで、その出来栄えには相当不満を持っていたのは有名な話であり、また西崎プロデューサーはまだそれほど現場に口を出すことはなかったようですし、またスタッフが揃わず、スケジュールもきつかったということもあって三者のコラボレーションが実現したわけではありませんが、勧善懲悪の物語だと思わせておいて、最後に善悪の価値観を逆転させて見せるあたり、アニメーションを子どものものから一歩踏み出させた、正しく後の『ヤマト』と『ガンダム』へと繋がるルーツだと言えるでしょう。

映画作品としては、ストーリーがぶつ切りなのは兎も角として、BGMまでもがブツブツ切れるのが非常に気になります。
まぁこれには製作上の致し方ない事情があるのですが、それを言うならばTV作品を再編集して劇場に掛けるという、安易な製作体制を責めるべきかも知れませんが…。

Tracked from ブログな気持ち at 2006-02-28 12:10
タイトル : 海のトリトン
こんにちは、熱から回復! 今更ながら、トリトン萌えです。... more
Commented by Rainny at 2006-02-28 21:45 x
TBありがとうございました。リンク仲間もその後トリトンの記事をたくさん書いて下さって盛り上がっているんですよ。
製作事情も色々あったのですね。
Commented by odin2099 at 2006-02-28 22:52
>Rainny様

『トリトン』は手塚治虫自身が、虫プロでアニメ化しようとしていたようです。
その時に作ったパイロットフィルムが、映画のDVDにおまけとして収録されています。
しかし経営悪化していたため、手塚治虫のゼネラルマネージャーを務めていた西崎プロデューサーが権利を入手、アニメ化にこぎつけたとのことです。
そこに至るまでには、色々複雑な事情があったらしいですが・・・(苦笑)。
Commented by 小夏 at 2006-03-01 14:08 x
『海のトリトン』、内容はま~ったく覚えてないくせに、あのテーマソングは歌える不思議(笑)。でも、主人公がさりげなく格好良かったことだけは微かに・・・。(^^)
Commented by クジラ at 2006-03-01 20:11 x
トラックバックありがとうございました。 僕はトリトンのLPのストーリー版も持ってるよ!大好きですぅ。
Commented by odin2099 at 2006-03-01 22:43
>クジラ様

『トリトン』のLP、諸事情で手放してしまったんですよね~。
CDで再発された時も買い逃してるし・・・。
でも記憶は鮮明です(笑)。
この劇場版を構成するに当たっては、このドラマ編LPが叩き台になったようですね。
Commented by odin2099 at 2006-03-01 22:44
>千夏さん

やっぱりあの歌のファンは多いですね。
歌詞も割りと大人っぽいというか、アニメの主題歌っぽくないというか。
by odin2099 | 2006-02-28 00:06 |  映画感想<ア行> | Trackback(1) | Comments(6)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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