
昭和20年、敗色の濃い日本は霊的指導者・観阿彌光凰の能力を持って英米の指導者を呪殺しようという奇策に打って出ようとしていた。
折しも戦争によって多くの死傷者が生まれ、その怨念があの加藤保憲を蘇らせてしまう。
観阿彌光凰の側近で霊能力を持つ中村雄昴は、その作戦を邪魔しようとする凄まじい霊力を感じ取り、それを追って加藤保憲の姿を見る。
そしてその場で、今は看護婦として働く辰宮雪子と運命的な出会いをするのだった。
「帝都物語」に続くシリーズ第二弾で、出演は加藤雅也、南果歩、嶋田久作、戸垣恵理子、野沢直子、土屋嘉男、中丸忠雄、斎藤洋介、高橋長英、草薙幸二郎、日下武史、丹波哲郎。総監督に藍乃才(ラン・ナイチョイ)を迎え、監督は一瀬隆重が務めている。前作に比べると小粒だが、なかなか通好みのキャスト陣が渋い。
厳密には「帝都物語」の続編ではない。お話は直接繋がらないし、多少の矛盾点もある。
それに重厚なドラマ仕立てだった前作と違い、本作では建物や背景はやたらと爆発し、人がバンバンぶっ飛ぶ。香港映画のスタッフを呼んでワイヤーワークを駆使し、「帝都大戦」の名の通りアクション重視の方向に振り切っているので、あのムードを期待すると裏切られること必定。

とはいっても加藤雅也演じる主人公は、超能力を使う度にゲロ吐いてるし、南果歩演じるヒロインも最後の最後まで戦わないので、全編殆ど加藤保憲が敵対する人物を甚振り、苛み、嬲り殺してるだけ。
その分、一世一代の当たり役となった嶋田久作の加藤保憲がやたらと格好良いのではあるが。
最初は原作未読の状態で見て「つまんないな」と感じたのだが、後日原作小説を読んでから見直したら「案外面白いじゃないの」と宗旨替え。
…と当時のメモに書いてあったのだけれども、改めて見直してみたら、やっぱり詰まらなかった。
中村と雪子、それに加藤の対決に絞れば文字通りのアクション映画になっていたかもしれないが、本筋は実は観阿彌光凰の祈祷の方。演じているのが丹波哲郎なので無駄に存在感が大きく、最後にこの人が全て持って行ってしまうので尚更メインの3人の扱いが霞んでしまう。
製作に際しては色々とゴタゴタがあったようだが、それを収拾できないまま作ってしまった、という感がありありだった。
【ひとこと】
土屋嘉男が扮する胡散臭い科学者の名前が水野博士。
これ、「ガス人間第一号」のオマージュなんだろうけど活かしきれてないなあ。