
許仙は幼い頃に白蛇を飼っていたが、大人たちに気味悪がられて泣く泣く捨てたことがあった。
長じて許仙はある日、一人の美しい娘と出会う。
実はその娘・白娘はあの時の白蛇が人間に化けた姿だったのだが、そうとは知らず許仙は惹かれていく。
だが高僧・法海は白娘の正体に気付き、許仙を妖怪から救おうとしていた。
中国の著名な民間説話を題材にした国産初の総天然色の長編漫画映画。
そして東映動画(現・東映アニメーション)の長編漫画映画としても第一作。
今から60年以上前の作品だが、白娘の可憐さと妖艶さは今日でも十二分に魅力的だ。
ただ本筋とあまり関係ないシーンが延々と続くあたりが、今日の作品群との違いを感じさせる。
上映時間は79分の作品だが、原題の感覚でリメイクしたとなると40~50分程度に収められてしまいそう。
全体的に緩やかなテンポなのも、あの頃ならではだろうと思う。
白娘はひたすら許仙を愛し、許仙が命を落とした際には自らの命を顧みずに”命の花”を手に入れ、そして妖力を失ってしまう。
それでも法海は許仙の為を思って白娘と対決するのだが、二人が強く惹かれ合っていることに気付き、最後は一転して二人の守護者となる、という流れは
『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』などにも似ている。
純朴な若者と人ならざる者との恋愛は、中国の古典のトレンドなのかもしれない。
【ひとこと】
全てのキャラクターを森繁久彌と宮城まり子の二人が担当。
そのため、どことなく絵本の読み聞かせに近いものも。