
最新作にして完結編の「スカイウォーカーの夜明け」公開を記念し、一夜限りの上演となった「スター・ウォーズ歌舞伎」を、これまた期間限定のネット配信で見ました。
折しも「新作歌舞伎 風の谷のナウシカ」の上演も始まったところですし、今、歌舞伎は熱いですなあ。
物語は「フォースの覚醒」と「最後のジェダイ」から構成されていて、カイロ・レンを主人公に、善悪の狭間で揺れる彼が父(ハン・ソロ)、主君(スノーク最高指導者)、師(ルーク・スカイウォーカー)と対峙する様を三場(三刃)で描いています。
出演は魁煉之介/皇海大陸琉空:市川海老蔵、幼き魁煉:堀越勸玄、八十七:市川新十郎、愛深理:市川右若、麗那:市川福太郎、半蔵:市川右左次、澪殷:大谷廣松、數能角:市川九團次ら。
脚本は今井豊茂、演出・振付は藤間勘十郎。
カイロ・レン(ベン・ソロ)が父ハンを自らの手に掛けるシーンから始まり、レジスタンスがファーストオーダーに追い詰められ、ホルド提督が我が身を犠牲にし、レイと組んでスノークを殺害し、最後はルークと対決するまでを正味30分程度でまとめているのでダイジェストもいいところですね。

もちろん歌舞伎なので登場人物の名前はアレンジ。
カイロ・レンは魁煉之介(かいれんのすけ)、ルーク・スカイウォーカーは皇海大陸琉空(すかいおおおかるくう)、レイアは澪殷(れいあん)、ハン・ソロは半蔵(はんぞう)、レイは麗那(れいな)、スノークは數能角(すのうかく)、アミリン・ホルド提督は愛深理(あみり)、レジスタンスは壽臺(じゅだい)軍、ファースト・オーダーは旺拿(おうだ)軍、ベン・ソロは弁壮(べんそう)といった具合です。
これだけ見て「スター・ウォーズ」のお話がわかるというものでもないし、「あ、歌舞伎って面白いな。今度他のも見てみよう」となるほど単純じゃないだろうし、如何にも”余興”といった按配で安っぽくも思えたのですが、可能性は確かに感じました。
今回みたいなダイジェストではなく一本一本の映画を長尺できっちりと構成したならば、新規のお客さんを呼び込むだけの魅力的なコンテンツになり得そうです。
また今回の作品の、海外のファンからの感想も気になりますね。
【ひとこと】
第三刃(第三場)でのカイロ・レンとルークの立ち回りは、海老蔵が一人二役の早変わりで演じているが、これは市川團十郎家に継承されてきた荒事の現代版といったところだろうか。